3.動物の世界
(4)鳥のなかま
(480)ヒヨドリ
「おれ様は,ヒヨドリだ。」
「なんだか,あんまりきれいな鳥ではないね。」
「でも,ヒヨドリはあちこちでよく見ることができる鳥よ。」
「何! あまりきれいでない! あちこちにいる!」
「まあ,そんなにおこらないでくださいよ。」
「まあまあ,ヒヨドリさん! あなたにはどんな特徴があるのですか。」
「そうだな。全体が灰色に見える鳥だな。きれいな鳥ばっかりがいいんじゃないんだぞ。おれ様みたいなのだっているんだ。」
「ヒヨドリさんは,どんな食べ物が好きなんですか。」
「まあ,そうだな。花の蜜やくだものが大好きだな。きのうは,モンタ博士のおうちに行って,ミカンが木の枝にさしてあったので,ちょいといただいてきたよ。モンタ博士が窓からじっとおれ様を見ていたよ(これは,本当のお話で,2月8日[日曜日]朝のことです)。
「花ちゃんがあちこちにいるといったけど,一年中いるのですか。」
「いいこと聞いてくれるね。おれ様は,ちょっと前までは(50年程前)までは10月に日本にやってきて,4月には渡り去る冬鳥だったけど,今では一年中いて,留鳥と呼ばれているよ。」
「留鳥って何ですか?」
「オー君は何にも知らねえんだな。こまったやつだ。おいらが教えてやるよ。」
「ヒヨドリさん! よろしくおねがいします。」
「あのな,鳥は一年中日本にいるわけでもないんだ。春から夏に日本にやって来る鳥を夏鳥,秋から冬にやってくるのを冬鳥というんだ。こういうのを渡り鳥というのさ。それに対して,おれ様やカルガモみたいに,一年中日本にいるのを留鳥というのさ。」
「へえー! そうなんだ。」
「それから,みんながよく見かけるカルガモだけど,漢字で『夏留鴨』と書くのさ。ほとんどのカモが冬鳥なのに対して,カルガモは一年中いるカモなんだよ。分かったか! オー君。」
「ヒヨドリさん! どうもありがとう。いろいろと勉強になりました。」
「それから,ヒヨドリさん! ついでにオー君に,ヒヨドリさんの鳴き声や飛び方についても説明してください。」
「そうだな。おれ様の鳴き声だけど,ピーヨ,ピーヨと鳴くんだ。それで,ピーヨドリがヒヨドリになったともいわれているんだよ。」
「飛び方は?」
「そうだな。飛び方っていうのも,鳥を見分けるのにとてもいい観察方法だ。カワセミみたいにまっすぐに飛ぶ鳥もいれば,トビのように風の向きを利用し,羽をバタバタさせず省エネで飛ぶやつもいるんだ。」
「それで,ヒヨドリさんの飛び方は?」
「おれ様は,波のように上に行ったり下に行ったりするのさ。」