3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(434)カブトムシのひみつ 2
「せっかくカブトムシの幼虫をつかまえたんだから,みんなで幼虫をよく観察することにしよう。下の写真は顔をアップでとったものだよ。」
「とっても大きな幼虫で,迫力がありますね。」
「これは3令幼虫だ。たまごからかえった時はもっと小さかったでしょうね。」
「そうだね。メスがたまごを
産んでから2
週間くらいで
幼虫が
出てくるんだ。これを1
令幼虫というのさ。
大きさは8ミリくらいなんだ。」
「1
令幼虫が
脱皮して2令幼虫になり,だんだん
大きくなっていくんだ。」
「脱皮って,何ですか。オー君! 分かりやすく教えてよ。」
「そうだね。人間の子供が成長するにつれて,洋服がきつくなっていくように,昆虫の皮も大きくなるにつれてきつくなってくるんだ。そこで,昆虫は,古い皮を脱ぎ捨てて新しい皮になるのさ。これが脱皮だね。」
「ふーん。そういうことなの。よーく分かりました。」
「ところで,モンタ博士! カブトムシはどのくらいごはんじゃなかった,腐葉土を食べて大きくなるのですか。」
「ある研究調査によると,カブトムシが成虫になるまでには,腐葉土を大きなおちゃわん5杯くらいも食べるそうなんだ。」
「へえー。カブトムシって,けっこうくいしん坊なんですね。」
「そうだね。食べることが仕事なんだよ。ところで,幼虫の体をよく見ると体に細かい毛がいっぱいあるだろう。これはどうしてだろうね。」
「毛があればあったかいからかな? いや,ちがうなあ。」
「毛があれば,きたないものなどがつかなくて,体がよごれないからかも?」
「ピンポーン! そのとおり。では,次に幼虫の目をさがしてごらん。」
「うーん。どこにあるのかな。小さい目だから見つけられないのかな。」
「ちがうよ。暗い腐葉土の土の中で過ごすから,目は必要ないんだ。」
「そうね! エサに囲まれているから,エサをさがす必要もないということね。」
「いいな,いいな。ごちそうに囲まれて生活するなんて最高だよね。毎日食べ放題でカブトムシの幼虫は幸せですね。」
「そうでもないみたいだよ。敵もいるんだ。一番恐ろしいのはモグラなんだ。それから,湿り気の多い土の中なので,ダニにとりつかれたり,病気もあるだろうね。他に寄生バチにたまごを産みつけられたり,アリにおそわれたり,キノコやカビなどにとりつかれることもあるのさ。まあ,いろいろと苦労して成虫になるんだね。それじゃ次に,口をよく見るとどうなっているかな。」
「大きなあごがありますね。」
「この大きなあごで,腐葉土をかみくだくのですね。丈夫なあごなんですね。」
「そのようだね。さらに,足を見てごらん。どんな感じかな。」
「どんな足の動きをするか,外に出して調べてみようよ。」
「なるほど,それはとてもいい実験だね。やってみよう!」
「あれ? あんまり足を使って歩いていませんね。どうやって動いているの。」
「カブトムシの幼虫は,体をもぞもぞ動かして,体ののびちぢみで移動しているんですね。」
「よーく観察すると,いろいろなことが分かって楽しいね。この幼虫はこの後,どうなるんだろうね。」
「寒い冬は,食べ物をあまり食べなくなるんだ。」
「そうだね。そして,あたたかな春が来るまでちょっとお休みするのさ。カブトムシが成虫となって登場するまでみんなで楽しみに待っていよう。」