3.動物の世界
(6)チョウ・ガのなかま
(396)モルフォチョウの輝きのひみつ
「まあ,なんてきれいなチョウなの? 私,初めて見たわ。」
「あ! これは,ひょっとして,モルフォチョウですね。」
「さすがは,オー君,よく知ってるね。『空とぶ光る宝石』といわれているんだ。」
「日本にはいないチョウなんだよね。」
「モンタ博士,今日は,モルフォチョウについてのお話なんですね。」
「そうだよ。日本にもカラスアゲハとかミヤマカラスアゲハなどがいるけどね,青く光るチョウのお話さ。」
「どうして光るかというと,それは,敵である鳥たちからにげるためだということですね。」
「そのとおりだ。何のために光るかということは分かったけど,どうやって光るのかということをいっしょに考えてもらおうと思うんだ。」
「そんなの簡単です。光る色をもっているからじゃないのですか。」
「わたしもそう思うわ。体にきれいな色がついているからでしょ。」
「ところがどっこい,それがちがうんだな。色がついているんじゃないんだ。」
「色がついてないって・・・,どういうこと?」
「色っていうのはね,2つあってね。うーん。簡単にいうと,3月3日のひな祭りのひしもちの赤や緑ってあるだろう。あれは,食紅という色,つまりこれを,色素色・・・うーん。むずかしくなってしまったな。」
「うーん。むずかしくなってきたな。」
「つまり,色ではなくても,色に見えるものがあるということなの。」
「うん,うん,そのとおり。モルフォチョウの羽の表面にでこぼこがあり,それに光があたって反射して出る色。これを構造色というんだ。」
「うーん。むずかしくなってきたな。」
「つまり,CDのうらって,色がぬってなくても,7色に見えたりするのと同じということですか。」
「そのとおり。もっと分かりやすくいえば・・・。何かよい例はないかな・・・。」
「うーん。あ! そうだ。シャボン玉も7色に見えることがあるよ。」
「そうだ。そのとおり。オー君,大正解。パチパチパチ。」
構造色ってむずかしく説明すると・・・(光の干渉)
モルフォチョウがなぜ光るのかという科学の秘密は,細い溝が規則的に並んだ鱗粉表面の微細構造にあるといえる。光には波の性質があり,規則的に並んだ溝状の構造の表面で反射すると,角度によっては波が重なり大波となる。そして,この時,光が強調されて独特な光を放つのである。この現象を物理学的には,光の干渉という(もっと詳しく知りたい方は,高校生の物理の教科書・参考書を見ればお分かりになるでしょう)。
CDが虹の色(赤,橙,黄,緑,青,藍,紫)に見えるのも,シャボン玉の表面に色がついてきれいに見えるのも,表面にある細かな溝の干渉によるためである。