2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(391)ナノハナのひみつ
「花ちゃん! 学校のあちこちに黄色い花が咲き始めたね。」
「黄色い花? ・・・あれは,ナノハナよ。オー君,名前知らなかったの。」
「いいじゃんか。知らなくったって。」
「ナノハナの名前くらい,しっかりと覚えてよ。常識よ。」
「そんなこといわなくったっていいじゃんか。」
「どうしたの。二人ともケンカはだめ。仲良くしよう。」
「でも,オー君がナノハナの名前を知らなくってもいいっていうんだもん。」
「でも,まあ,黄色いきれいな花が咲きだしたことに気がついただけでもいいんじゃないかな。そうだ。今から仲直りするために,ナノハナの観察をすることにしよう。」
「はーい! 分かりました。」
「ところでさ,ナノハナはどうして咲いているの。どうして黄色い花なのかな。」
「どうして咲いている? なぜ黄色? ・・・そんなこといわれても・・・。」
「そんなの簡単だよ。虫を引きよせるためさ。」
「そのとおりだね。学校のナノハナは,みんなで種をまいたじゃないか。だから咲いているけど,そもそも,植物が花を咲かせる本当の理由は,虫に来てもらい受粉して実をつけるためなんだ。」
「あ! 思い出したわ。そういう花をむずかしい言葉で,虫媒花というんですね。風によって受粉するのは風媒花ですね。」
「よく覚えているね。すごいね。」
「それで,アブラナやその他のいろいろな虫媒花は,みんなきれいな花を咲かせるんですね。つまり,目立つためなんだ。」
「目立つ? そうか,そうだね。でも・・・目立つためならもっと大きな花を咲かせたほうがいいんじゃないかしら。」
「なるほど,そのとおり。おもしろくなってきたね。それじゃ,もっとよく観察してみよう。何か気がつくことはないかな。」
「こうして見ると,ナノハナって,たくさん咲いてるね。」
「そうか。分かった。ナノハナは花は小さいけど,たくさん咲くことによって目立つように工夫しているんですね。ナノハナ畑という言葉もありますね。」
「なーるほど。そういうことか。よく分かったね。でも,どうして畑にするくらいたくさん植えるんだろう。」
「それはちょっと,むずかしいけどね。ナノハナという植物は,その種から油を取るために植えるんだ。」
「あぶら? アブラ?油・・・?」
「ナノハナの種をしぼって作る油で,菜種油というんだ。」
「いろいろと植物にはお世話になっているということですね。」
「最後に,ナノハナが黄色というのは,どうしてなの。」
「それはね,ナノハナが咲く季節と関係があるんだよ。」
「季節ですか・・・そういえば,春には黄色いお花がいっぱいですね。春の色といったらやっぱり黄色ですね。」
「そういえば,タンポポも黄色だね。」
「春になり一番早く活動をする虫といえば,何かなオー君。」
「それはアブのなかまですね。そうか! アブが好きな花の色は黄色なんだ。それで,ナノハナは黄色なのか。」
「花の色は,それを好きな虫との関係から決まると,いろいろな研究から分かってきているんだよ。」