1.身近な自然の観察
(5)自然観察・実験のてびき
(390)海の生き物観察 その2
「まあ! たくさんの貝がいるわ。動いているのは『ヤドカニ』でしょ?」
「ヤドカリ(宿借)」だよ。モンタ博士が神奈川県の三浦海岸でとってきてくれたんだ。たくさんいるね。」
「ヤドカリってカニやエビのなかまかしら?」
「そうそう,甲殻類というグループだけど,エビやカニとは少しずつちがうんだ。図を見てごらん。触角(ひげ)が目の外側にあるのがヤドカリ。」
「貝殻に入っているおなか(尾)は柔らかいんだね。」
「わざわざ重い貝殻に入って歩き回るなんて,たいへんじゃないのかしら。」
「そうだね。身を守るために貝殻に入り,おなかが柔らかいままなのかも知れないね。カニと同じようにプランクトンで幼生時代を過ごし,脱皮して成長するよ。」
「あれ? 脱皮の時に貝殻はどうするんだろう?」
「するどいね~! ヤドカリは死んだ空き貝殻を見つけて利用しているんだ。自分の成長に合わせて大きな貝にすみ替えるんだよ。」
「そんなに都合よくぴったりの貝があるのかしら?」
「またまたするどい! ヤドカリは歩きながらいつも次にすむ貝殻の『物件探し』をしているみたい。時にはすんでいる別のヤドカリをけんかして追い出し,乗っ取ることもあるそうだよ。」
「え~っ! それは大変そう・・・もっとのんびりした生き物かと思った。」
「あら,図鑑には『繁殖期のオスはメスを奪われないように抱えて歩く』って書いてあるわ。」
「自分の貝殻だけでも重いだろうに・・・男はつらいよ・・・。」
「ヤドカリは敵におそわれると,貝殻の入り口を自分のはさみでぴったりふたをする。サイズが合わないと,体がはみ出して食べられちゃう。だから,貝殻不足はヤドカリの生死にかかわるんだね。しかたなくペットボトルのキャップに入ったりすることもあるらしい。」
「ふつう,人は,ヤドカリを食べませんよね?」
「う~ん,おいしいかどうか試したことはないけど。ヤドカリの親戚で食用にする種類がいるよ。な~んだ?」
「子供だから分かりませ~ん。」
「どこかのテレビ番組みたいなせりふだね。正解は『タラバガニ』だよ。見えている足の本数と,触角の生え方がちがうんだ。モンタ博士のおみやげの中には他にもいろいろな海の生き物がいるから,じっくり観察してごらん。『カメノテ』というものをお味噌汁に入れる地方もあるよ。」
「あ~! ホントに亀の手みたいだ!」
「フジツボなんかも甲殻類なんですね。不思議な姿をしているわぁ~。」
「まだまだ不思議がいっぱいあるよ。」
「♪海は広いな大きいな
行ってみたいな三浦半島♪」