1.身近な自然の観察
(7)気象現象
(376)観天望気
「モンタ博士! この前は,ひこうき雲のお話をくわしくしてくれてどうもありがとうございました。」
「ひこうき雲が,すぐに消えればいい天気,ずうっと残っているようだと天気が悪くなるというのは,とてもいい勉強ができたと思います。」
「そうだね。空の様子や風の吹き方などを見ると,お天気が分かるんだね。」
「今は天気予報があって,明日の天気とか分かるからいいけど,昔の人は,苦労したでしょうね。」
「そのとおりだね。昔は,テレビやインターネットがなくて,天気が予報できなかったから,人は空を見上げていたんだね。」
「ふーん。すごいね。みんながみんな気象予報士さんみたいなものだったの。」
「そうだね。空を見て,これからの天気を予想することを,むずかしい言葉で『観天望気』というんだよ。」
「『観天望気?』むずかしい言葉だな。」
「例えば,『夕焼けは晴れ』とかいうけど,そういうことですか。」
「ピンポーン。そのとおり。夕方にきれいな夕焼けが見られたら,翌日は晴れるという意味だね。天気は西から変わることが多いので,そのように言われているんだ。」
「『夕焼けは晴れ』というのは,ぼくも聞いたことがあります。昔の人の言い伝えやことわざというのは,今でもとても役立っているんですね。」
「空だけでなく,鳥や虫などの様子もよく見ていたんだよ。」
「へえー。鳥や虫からでも,お天気が分かるということですね。」
「そのとおりだね。鳥や虫は人間とちがって,屋根のある家にすんでいるわけではないので,天気の変化にはとても敏感なんだね。」
「鳥についてのお天気のことわざって,どんなものがあるのですか。」
「もう秋も終わり,ツバメもいなくなってしまったけど,『ツバメが低く飛ぶと雨』というのがあるんだけど,どうしてなのだろうか,考えてごらん。」
「ふーむ。低く飛ぶ? さて,どういうことだろう・・・。」
「低い所を飛ぶというのは,えさとなる虫と関係があるのですか。」
「そのとおりだね。まず,雨雲が近づき湿度が上がると,小さな虫は羽に水蒸気の粒がつき,体が重くなり高く飛べなくなる。そして,低空をヨタヨタ飛ぶ虫を,ツバメが低く飛んで虫をゲットするということさ。」
「なーるほど。そういうことなんですね。昔の人はよく見てたんですね。」
「いろいろな生き物からお天気が分かるなんて,やっぱり自然は偉大な気象予報士ということですね。」
「『自然は偉大な気象予報士!』か,なるほど,ぴったりでいい言葉だね。」
「モンタ博士! ほかにどんなことわざや言い伝えがあるのですか。」
「そうだね。まだまだたくさんありそうだね。そうだ! 二人でいろいろと調べてごらん。そして,モンタ博士に教えてほしいね。よろしくね。」
ということで,二人でいろいろと調べてみると・・・たくさんあったとさ・・・
花ちゃんとオー君が調べた『お天気のいろいろなことわざ』集!!!
朝,クモの巣に水滴があれば,その日は晴れ。朝虹は雨,夕虹は晴れ。スズメが朝早くさえずる時は晴れ。くしが通りにくいと雨。太陽に「笠」がかかると雨。煙突のけむりがまっすぐだと晴れ,たなびくと雨。山に笠雲がかかると雨のきざし。雲のケンカは雨。ネコが顔をあらうと雨。朝の雷に川越すな。古傷がいたむと雨。冬の北風,日入ればやむ。夏の夕焼け,船つなげ。トンボが多く飛べば暴風。夏の海鳴りは台風接近のきざし。霧の深い朝は,昼間晴れて暑くなる。霜柱が折れると雨。家の中のものが汗をかくと雨。月夜の大霜。カメムシが大量発生する年は大雪。ハチが巣を低いところに作る時は台風が多い。雷がなると梅雨明け近い。わた雲(積雲)は晴れのきざし。うろこ雲(巻積雲・高積雲)は三日のうちに雨・・・などなど。