1.身近な自然の観察
(7)気象現象
(375)ひこうき雲
「うーん。こまったな。こまったな。」
「どうしたの,オー君。何がそんなにこまったの。」
「この前,モンタ博士にお話ししてもらった雲について,いろいろ考えたけど,どうしてもちがうんだ。なぜだか分かんないんだ。」
「何がちがうの。何が分からないの。」
「モンタ博士は,雲は10種類といったけど,そのどれにも入らない雲なんだ。」
「え! ほんと! それって,ひょっとして大発見かもしれないね。」
「大発見・・・うれしいな。でも,花ちゃんも見たことのある雲だよ。」
「え! どんな雲なの。」
「それはね,青い空に,白い線を引く雲さ。」
「青い空に,白い線を引く雲?」
「うん。白い雲がずうっと伸びているんだ。」
「ずうっと伸びている?」
「ずうっと残って見えるときもあるし,すぐになくなってしまうこともある雲なんだ。」
「残って見える? なくなってしまう? それって,ひこうき雲?」
「そうそう! ひこうき雲。ところで,ひこうき雲というのは,どの雲のなかまでもなさそうなんだけど,花ちゃんはどう思う。」
「そうね。そういえば,どの雲のなかまか分からないわ。でも,ひこうき雲って,青いお空にまっすぐな線で,見ていてとっても楽しくなる雲ね。」
「ほほー。ひこうき雲のお話で盛り上がっているみたいだね。」
「そうなんです。オー君がひこうき雲を不思議な雲だというんです。」
「なるほど。それでは,きょうはみんなでひこうき雲について考えてみよう。ひこうき雲について,知っていることや分かったことはどんなことかな。」
「ひこうき雲って,ほかの雲のように自然にできた雲とちがって,ひこうきが飛ぶときだけできる雲なんですね。」
「ひこうき雲って,いつもひこうきの後ろには出るけど,ひこうきの前には,ぜったいに出ないね。」
「ほほー! 二人ともいいところに気がついたね。」
「つまり,ひこうき雲は,ひこうきが雲のもとをはき出すということですね。」
「ピンポーン。そのとおりだね。」
「でも,どうして,なぜ,何が雲のもとになるのですか。」
「まず,空の高いところは気温が低いんだよね。」
「そのとおりですね。」
「その気温の低いところを飛ぶひこうきが出す水蒸気があるけど,それが何かとくっつくんだけど,何だか分かるかな。」
「それは,空気中のちりとかですね。」
「水蒸気と空気中のちりがくっついて,雲つぶができるんですね。」
「それがひこうき雲というわけさ。おまけのお話だけど,ひこうき雲で天気予報もできるんだよ。」
「え! 本当ですか? わたし知りたいです。教えてください。」
「ひこうき雲がスッとできて消えるときは,よい天気。反対にだんだん大きくなったり,いつまでも残ったりすると天気が悪くなるそうなんだ。」
「すごーい。私,これから,ひこうき雲で観天望気をします。」
「ぼくも仲間に入れて!」