東書キッズ

２．植物（しょくぶつ）の世界（せかい）
　（1）花（はな）のつくりとはたらき

（350）オジギソウの花（はな）

「モンタ博士（はかせ）！２年（ねん）２組（くみ）と３年２組のオジギソウのお花（はな）が咲（さ）きました。」

「本当（ほんとう）ですか。うれしいな。夏休（なつやす）み前（まえ）にあげた，あのオジギソウですね。」

「そうなんです。夏休（なつやす）みの間（あいだ）も，水（みず）をしっかりやっていたら，花（はな）が咲（さ）いたそうなんです。とってもかわいくてきれいなお花だそうです。」

「ほほー。それはよかったね。どれどれ，どんなお花（はな）かみんなで見（み）に行（い）こう。」

「うわー！ピンクのきれいなお花（はな）ですね。」

「花（はな）びらというのは見（み）えないですね。」

「そのとおりだね。うすいピンク色（いろ）の花（はな）は，おしべだね。オジギソウの花は，たくさんのおしべがつき出（で）ているんだね。あ！そうだ。このオジギソウによく似（に）た花が国立七（くにたちなな）小（しょう）のある場所（ばしょ）でたくさん見（み）られるよ。」

「え！どこ，どこ，どこに見（み）られるんですか。」

「あ！分（わ）かった。モンタ博士（はかせ）がいう『よく似（に）た花（はな）』というのは，ネムノキのことですね。」

「ピンポーン。そのとおりだね。次（つぎ）の写真（しゃしん）を見（み）てごらん。ネムノキはモンタ博士（はかせ）も大好（だいす）きな花（はな）さ。学校（がっこう）のネムノキは，６月（がつ）ころから９月ころまで咲（さ）いているんだ。とても花の時（じ）期（き）が長（なが）くて，花も大（おお）きいので，みんなで見（み）てほしいね。」

「よーし。こんど見（み）てみます。」

「ネムノキの花（はな）は，夕方（ゆうがた）から咲（さ）きはじめ，次（つぎ）の日（ひ）の昼（ひる）ごろまで咲きつづけるんだ。繊細（せんさい）な感（かん）じのおしべだけがよく目立（めだ）つ花なんだよ。」

「作家（さっか）の壺（つぼ）井（い）栄（さかえ）さん（名作（めいさく）『二十四（にじゅうし）の瞳（ひとみ）』の作者（さくしゃ））という人（ひと）は，『桃色（ももいろ）の絹糸（きぬいと）をたばねて切（き）りそろえたようなかれんな姿（すがた）』といったそうです。また，松尾（まつお）芭蕉（ばしょう）は，『呉（ご）国（こく）（古（ふる）い中国（ちゅうごく））でもとてもきれいといわれた西施（せいし）という人』にたとえたそうです。また，英名（えいめい）では，『シルク・ツリー』ともいわれているそうです。」

「へえー。今日（きょう）の花（はな）ちゃんは物知（ものし）りだね。おどろいたな。すごいね。感心（かんしん）。」

オジギソウやネムノキはどうして葉（は）っぱが動（うご）くのか？
（小学生（しょうがくせい）には少（すこ）し難（むずか）しい内容（ないよう）です。）

　オジギソウやネムノキ，さらにクズなどのマメ科（か）植（しょく）物（ぶつ）の小（しょう）葉（よう）の付（つ）け根（ね）には，「葉枕」（ようちん）という膨（ふく）れた部分（ぶぶん）があります。葉枕は，細（さい）胞（ぼう）間（かん）隙（げき）の多（おお）い柔（じゅう）細（さい）胞（ぼう）と運（うん）動（どう）細（さい）胞（ぼう）とからなっていて，葉枕上部（じょうぶ）の細胞に比（くら）べると，下（か）部（ぶ）の細胞は細胞壁（さいぼうへき）が薄（うす）くなっています。太（たい）陽（よう）光（こう）線（せん）の強（きょう）弱（じゃく）によって，運動細胞の中（なか）のカリウムを含（ふく）む液（えき）体（たい）が細胞間隙に流（なが）れ出（だ）し，そのため，運動細胞の膨（ぼう）圧（あつ）は低（ひく）くなり，また，下部の細胞壁が薄いために，葉（よう）柄（へい）は下（した）向（む）きに垂（た）れ下（さ）がるのです。
　オジギソウでは，睡眠（すいみん）運動（うんどう）の他（ほか）に，「傾震（けいしん）（傾震（けいしん）性膨圧（せいぼうあつ））運（うん）動（どう）」もします。これは，葉（は）などに触（ふ）れたり振（しん）動（どう）を与（あた）えたりすると，瞬間的（しゅんかんてき）に葉（は）を閉（と）じて，葉柄（ようへい）を下垂（かすい）させる運動（うんどう）のことです。その仕（し）組（く）みは，睡眠運動と同（おな）じく，葉柄や小（しょう）葉（よう）の基部（きぶ）にある葉（よう）枕（ちん）内（ない）の運動（うんどう）細胞（さいぼう）の膨圧（ぼうあつ）の変化（へんか）によっています。