1.身近な自然の観察
(5)自然観察・実験のてびき
(345)界・門・綱・目・科・属・種
「ねえねえ,花ちゃん。ぼくのお母さんが『じゅもん』のような不思議な言葉を言っているんだ。」
「え! 『じゅもん?』,・・・何て言ってるの。」
「かい・もん・こう・もく・か・ぞく・しゅ,って,言っているんだ。覚えるぞ。覚えるぞ! と,はりきっているんだ。何だろうね。本当に不思議な言葉なんだよ。」
「あ! わたし分かった! この前の『てくてく自然散歩』に書いてあったものですね。モンタ博士。」
「そのとおり。よく分かったね。『界・門・綱・目・科・属・種』 と言ってね,小学生にはちょいとむずかしいかな。大人向けに書いたんだよ。」
「ぼく,何でもかんでも知りたいな。勉強したいな。何なのそれ?」
「わたしもいろいろと知りたいです。自分から進んで勉強すると,どんなことでも楽しくなるもん。わたし,自由学習大好きでーす。」
「ぼくも,自由勉強大好きでーす。今,国立七小で,ある学年のあるクラスでは,自由勉強がとてもはやっているそうなんだってさ。いろいろと自分で不思議に思ったことを自分で調べては,先生に見せているそうなんだ。」
「ほほー。それはそれはすばらしい。毎日が夏休みの自由研究みたいだね。どんどん自分から進んでお勉強していこう。」
「ところで,モンタ博士。さっきの『界・門・綱・目・科・属・種』のお話の続きをお願いします。」
「そうだね。簡単にいうと,地球にはいろいろな生き物がいるけど,それらは,みんなちがうけど,いくつかのなかま分けができるんだ。その単位としてあるのが,『界・門・綱・目・科・属・種』というわけさ。」
「つまり・・・簡単にいうとどういうことですか。」
「そうだな。では,モグラとヒマワリを考えると,モグラは動物界でヒマワリは植物界なのさ。これは簡単だね。次に人間とダンゴムシを考えると,人間は背骨がある動物なので脊椎動物門で,ダンゴムシは体に節があるので節足動物門なのさ。」
「それで,それで・・・。」
「次に,ザリガニとミツバチを考えると,ザリガニは外側にかたい殻があるので,甲殻動物綱で,スズメバチは虫のなかまなので昆虫綱さ。さらに,オオムラサキはチョウのなかまでチョウ目で,カミキリムシは甲虫のなかまで甲虫目だね。」
「それで,それで・・・。」
「次に,タマムシはタマムシ科で,カナブンはコガネムシ科だね。さらに,カブトムシはカブトムシ属で,ハナムグリはハナムグリ属になるんだ。そして,同じクワガタ属でも,種として,ミヤマクワガタがいて,コクワガタもいる。まあ,そういうわけだけど,分かったかな。むずかしかったかな。」
「ふーむ。むずかしいわ。オー君,分かった?」
「分かったような・・・分かんないような・・・つまり,いろいろな生き物の親戚関係みたいなものなのかな。」
「そのとおりさ。兄弟とか,いとことかいるだろう。遠い親戚とか近い親戚とかいるだろう。それに似たようなものなのさ。」
「そうか! つまり,どこかでつながっているというか,生き物って,いろいろといるけど,なかま分けをするときのレベルとかステップみたいなもの。」
「そのとおりさ。むずかしい言葉で『系統』というけど,『進化』の過程をまとめたようなものと言ったら,またむずかしくなっちゃうかな。」
「うん。またむずかしくなっちゃったなあ。ところで,ぼくや花ちゃんは人間という生き物だけど,その『界・門・綱・目・科・属・種』ではどうなるの。」
「動物界・脊椎動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒトとなるのさ。」