2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(8)植物の名前・分類・特性について
(334)四つ葉のクローバー
「ねえねえ,オー君,見て見て,すごいでしょう,いいでしょう。」
「あっ! 四つ葉のクローバーだ。五つ葉も六つ葉もあるぞ。」
「オー君,四つ葉のクローバーはね,幸せのシンボルなのよ。知ってた。」
「植物オンチのぼくだって,そのくらいは・・・。」
「知っていたんだ。」
「いいや,今初めて聞いた。でもすごいな。四つ葉のクローバーというのは,なかなか見つからないんだよね。よく見つけたね。」
「すごいでしょう。上の写真は,いろいろな人が見つけた四つ葉なのよ。」
「ぼくもほしいな。でも,どうして四つ葉のクローバーってあるんだろう。そうだ! モンタ博士に聞いてみよう。」
「モンタ博士,どうして,四つ葉のクローバーってあるんですか。」
「うん,そうだな。簡単に答えを言う前に,四つ葉のクローバーというのは,どんなところにあるかを考えることが大事だよ。ちょっとむずかしいかな。」
「みんながよく歩くところにあると言っていたわ。」
「そのとおり,四つ葉のクローバーはね,植物の成長点(茎などが伸びるところ)が踏みつけられたりしてできるんだよ。」(遺伝子による形成との説も若干あり。)
「そうか。つまり,きずがついたりして,ちょっと変わった形になるってことなんですね。」
「それじゃ,四つ葉のクローバーというのは,自分たちでも作ることができるということですね。モンタ博士。」
「そうだよ。かまでかったり,おもいきり踏みつけたりすると,どんどんできると,ある本に書いてあったよ。四つ葉だけでなくて,五つ葉,六つ葉もできるそうだよ。最高で九つ葉というのを見つけた人がいるそうだよ。」
「なんだかおもしろくなってきたね,花ちゃん! いっしょに見つけに行こう!」
「そうね。みんなで見つけましょう。」
「四つ葉を見つけるために,緑の葉っぱを見ることは,目にもよいからね。」
緑と癒しと安らぎと・・・
人は自然に癒しや安らぎ感を求める生き物である。品田穣さんの『ヒトと緑の空間』によると,安らぎ感の主役は木や草の緑だという。視界に入る緑の量が多ければ多いほど,人々の安らぎ感が増し,癒されることが多くなると,調査等で確かめられている。
昔の人はよく,「緑を見ると目が休まる」といったものだ。読書や針仕事に疲れると,庭の木々に目をやり,目の疲れを癒し心を休めた。緑の量と癒し・安らぎ感とは正比例の関係にあるそうだ。
東京大学の吉田尚貴さん,武蔵野美術大学の立花直美さんは,街路樹の緑が多ければ多いほど安らぎ感が増すと学術論文などで報告している。つまり,視界の中の緑の量が30%以下になると安らぎ感が失われ殺伐とした風景になるそうだ。心の癒しが求められる現代社会で緑はとても大切な存在であることがわかる。人類はもともと目を使って緑を見つけ,緑を食べる動物として進化した。だから人間の目には,自然の緑がもっともよく見えるような構造が組み込まれているのだろう。連綿とした人類の歴史において,人は自然の緑に適応するように作られているのだろう。緑が目の薬になる秘密はこのへんにあるのかもしれない。
四つ葉のクローバーを探すために,緑の葉をじっと見詰めることは,目も休まり,視力も良くなり,結果的に幸せになるのだろう。「四つ葉のクローバーは幸せのシンボル」とは正鵠を得ている。
やはり,クローバーは,「桃色」なんかよりも「緑色」がいいのだろうと思う今日この頃。