3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(332)オトシブミのお話 その1
「あれあれ? 校長室でモンタ博士が何かしてますね。」
「モンタ博士! 何をやっているのですか。」
「月曜日の全校朝会でのお話の道具を作っているのさ。」
「お話の道具・・・? どうするんだろうな・・・?。」
「緑色の紙のようなものは,葉っぱみたいですね。」
「まるい緑は『つつ』のようですね。」
「何のお話かというとね,オトシブミという虫のお話さ。とっても小さな虫がすっごく大きな仕事をするというお話さ。」
「とっても小さい虫というけど,どのくらいの大きさなんですか。」
「そうだね。10円玉の半分のまた半分くらい。1センチもないくらい小さい虫なんだ。それがおどろくような大きな仕事をするんだよ。」
「大きな仕事って,どういうこと。」
「小さな虫が大きな葉っぱを相手に,その葉っぱに卵を産むんだよ。」
「卵を産むって,モンシロチョウがキャベツに卵を産むようにするの。」
「モンシロチョウとはちょっとちがうんだけど,まあ,その話はゆっくりとするけど,小さな虫でもえらいことをするんだよ。例えば,みんなをオトシブミとすると,体育館くらいの大きさの葉っぱを相手に,自分の子供のためにすごいことをするんだよ。」
「あのう・・・。オトシブミって,『落とし文』のことですか。」
「え! 落とし文のことを知ってるの。さすが,花ちゃん。物知りだね。」
「昔の人が好きな人にお手紙を書いて,その人にお手紙を渡そうとする時に,はずかしいから他の人には分からないように,そっとその人の通る道にわざと落としておくということだったと思いますが・・・。」
「ピンポーン。そのとおり。今はメールで『好きです! 愛してます!』と送ったり,ラブレターを書いたり,簡単に自分の気持ちを伝えられるけど,昔の人は,いろいろと苦労したんだね。」
「つまりどういうことなのですか。」
「つまりね,昔のお手紙というのは巻物みたいだったのさ。そして,その形がオトシブミという虫の作る『お弁当箱つきおうち』や『ゆりかご』に似ているというわけなんだよ。」
「お弁当箱つきおうち? って,どういうことなのかな。」
「ゆりかご? って,どういうことなんですか。」
「そのお話は,今度の月曜日までお楽しみにしていてね。もし,どうしても知りたいなという人は,ネットや図鑑などで自分で調べておいてもいいね。まあ,ともかく準備を始めよう。あ! そうだ。モンタ博士がオトシブミになっちゃうっていうのもおもしろいかもな・・・。そうだ! オトシブミのお面を作ったほうが楽しいだろう! よし! 今からモンタ博士は,オトシブミに大変身するぞ!」