3.動物の世界
(5)ハチのなかま
(331)クロオオアリ
「うわあー! 大きなアリですね。」
「すごいだろう。ぼくが見つけたんだ。朝,登校して来る時にね。それで,モンタ博士に見せるために持ってきたんだ。」
「いい子だね。えらいね。もうモンタ博士はうれしすぎて涙が出ちゃうよ。」
「それにしても大きなアリですね。こんな大きいの,あまりいませんね。」
「そうだね。とても大きいからアリの体の様子がよく分かるね。このアリの体をつかんで,こうするとね・・・おもしろいよ。」
そして,モンタ博士は,4年生の手の上にアリを近づけました。すると・・・。
「あ! いたい! 大きなあごでかまれた。」
「よーく見てごらん。人間はあごが上下にあるけど,虫たちのあごはほとんどが右左だろう。これは発見だ。まあ,いたい思いをすることも観察だね。」
「ところで,大きさはどのくらいだろうね。」
「定規で測ってみようよ。」
「すごいよ。2センチもあるよ。」
「何という名前のアリなんですか。」
「いっしょに図鑑で調べてみよう。」
ということで,みんなでペラペラと図鑑を広げて見てみると・・・。
「これはたぶん,クロオオアリかもしれないね。」
「でも,モンタ博士,クロオオアリの大きさは,7~13ミリとありますが。」
「よいところに気がついたな。これはたぶん女王アリだろうね。」
「え! アリにも女王なんているんですね。」
「そうなんだ。アリはハチと同じ仲間なんだね。これが大切なことでね。虫はいろいろな種類がいて,名前を知るのは大変だけど,大切なことは,何の仲間かを知ることなんだ。アリもハチと同じように,女王は体が大きいのさ。」
「でも,このアリには羽がないけど・・・。」
「5月か6月になると,女王アリは結婚飛行のために巣から出てくるんだ。」
「それで,それで・・・。」
「女王アリはメスだろう。そこで,オスのアリと交尾をすると,巣を作るんだけど,羽はじゃまだから自分で取ってしまうというわけさ。」
「それで,オスはどうなってしまうのですか。その後,メスと仲良くくらすの。」
「オスは交尾するためだけに生きているみたいで,交尾が終わるとすぐに死んでしまうのさ。いろいろなハチもこのようにしているんだよ。」
「そして,どうなるのですか。」
「新しい巣づくりが始まるのさ。」
「それじゃ,女王アリ。つまり,5月,6月に大きなアリをつかまえて,土をたくさん入れて飼えば,アリの巣の観察ができるということですか。」
「そのとおりだね。その後,女王アリはどんどん卵を産んでいくんだ。そして,1匹の女王アリを中心とした家族集団をつくってくらすのさ。」
「そうすると,アリだらけになってしまうかもしれませんね。」
「ところがそうでもないんだ。クモやアリジゴクやサシガメなど,いろいろな生き物がいて,増えすぎないようにバランスよくできているのさ。」
「女王アリをつかまえてから,自分でアリの生活を観察するためのキットがネット販売で買えるそうです。くわしくは調べてみましょう。」