2.植物の世界
(10)あら、不思議? 植物マジックの世界
(330)カタバミ・スイバ・イタドリの科学マジック
「あれ,モンタ博士だ。あそこで何かやっているみたいだな。何してるのかな。」
「モンタ博士! さっきから何をしているんですか。葉っぱで何をしているの。」
「あのね,葉っぱを使って実験しているんだよ。実験というよりも,植物マジックといったほうがいいかな。」
「えっ! 植物マジックというのは,もしかして手品ってことですか?」
「えっ! 手品? 植物でどんな手品ができるのですか。おもしろそうですね。私たちにも教えてください。」
「植物を使った手品といってもいろいろあるんだよ。これからこの『てくてく自然散歩』でいろいろと紹介していくからね。それでは,今日は,『カタバミ』という草を使っての手品をしよう。」
「カタバミは,花が小さく黄色くて,道ばたでよく見かける草ですね。」
「そうだね。このごろは,帰化植物のムラサキカタバミとか,イモカタバミなどもよく見かけるね。ところで,二人は今日10円玉を持っているかな。」
「えっ! 10円玉がいるの。」
「まあ,見ていてごらん。ここに取り出しましたのは,ただの10円玉。10個集まれば100円になって,100個集まれば1000円になるね。」
「モンタ博士,何だか算数をやっているみたいですね。マジックはどうしたの。」
「ああ,ごめん。ここにあるただの10円玉をよく見てごらん。何だかとってもよごれている感じでしょ。それを,エイ! ヤー! とモンタ博士がひと声かけて,ゴシゴシこすると,さあ,何と不思議なことでしょう。」
「ぎょ! あれ! 何だ,どうして,どうして,どうしてなんだ。」
「本当だ。きれいになっている。ピカピカになっている。不思議だわ。」
「何でそうなるの?」
「カタバミという草はすっぱいんだ。酸というものが含まれていて,その酸というやつの力でよごれが落ちるのさ。他にも,スイバやイタドリ,その他,いろいろな植物できるよ。いろいろとやってごらんよ。楽しいぞ。」
「オー君,いろいろな植物で実験しよう。いろいろな葉っぱで手品をしましょう。何だかとってもわくわくドキドキしてきて,楽しくなってきたわ。」
「6年生になると,理科の授業で『酸性とアルカリ性』を勉強するからね。その時にまたくわしくお話ししてあげよう。今日は,いろいろな葉っぱで10円玉ピカピカ変身実験をしてみよう。」
カタバミと酸
酸が汚れを落とすのは有名な話ですが,このカタバミという植物の葉や茎には,『シュウ酸』という酸が多く含まれていることが分かっています。帰化植物のイモカタバミやムラサキカタバミや園芸植物のハナカタバミやその他の野生種のカタバミなども10円玉が見事にきれいになります。なお,私自身実験したことはありませんが,トロピカルフルーツのスターフルーツ(五角形をしている)もカタバミ科の植物なので,同じくシュウ酸を多く含んでいるので,多分,きれいになることでしょう。ついでに,カタバミの花言葉は「輝く心」だそうです。また,道ばたなどでよく見かけるスイバもシュウ酸を含んでいます。フランスをはじめ欧米では盛んに栽培して,ホウレンソウと同様に調理するそうです。
キュウリのシャボン玉
これとは逆に,アルカリ性の体液を含むものもあり,メロン,キュウリ,マクワウリなどはその良き例です。ちょっと難しい科学マジック・植物マジックですが,キュウリの葉っぱの柄をカッターナイフで切り,体液が出てきたら,そこに,細めのストローを差し入れ,息を入れると,な,な,何と不思議??? キュウリのシャボン玉のできあがり! どなたかチャレンジしてみませんか。ご報告お待ちしております。おもしろいよー。驚きだよー。楽しいよー。わくわくドキドキするよ。