2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(320)カボチャのひみつ
「うわあ! カボチャですね。」
「うまそうだ。カボチャはパンプキンというのでしょ。スープがいいよね。
それから,カボチャサラダ,カボチャのみそ汁,カボチャケーキに,カボチャパンもあるぞ。あ! そうだ。カボチャは煮物が一番だ。」
「あらあら。オー君は食べ物のお話ばかりですね。」
「せっかくだから,今日はカボチャについて,いろいろと研究してみよう。」
「そうですね。まずカボチャって,どこの国にあったものですか。」
「もともとカボチャのふるさとは,メキシコ南部といわれているんだ。コロンブスの新大陸発見後に,ヨーロッパに伝わり,中国やカンボジアを渡り歩いて,その後日本にやってきたらしい。」
「ぼく知ってるよ。カボチャの名前は,カンボジアに由来しているんでしょ。」
「そのとおり。よく知ってるね。漢字で書くと『南瓜』。つまり南から来たうりという意味なんだ。また,『南京』とか『唐なす』というんだ。」
「世界中を旅してきて,私たちが今食べているということですね。」
「ところで,カボチャはもともとは熱帯原産で,夏に取れる野菜ですね。どうして『冬至にカボチャを食べるとよい』といわれるのでしょう。」
「そのとおりだね。でも,何か理由がありそうだね。カボチャをよく見てごらん,カボチャはウリ科の植物で,キュウリやスイカ(西瓜)と同じ仲間だけど,何か気がつかないかな。」
「うーん。あ! そうだ。カボチャはとてもかたいね。」
「かたいということは,保存がきくということね。だから,夏に収穫したカボチャを冬至まで取っておくことができるということですね。」
「今はいつでも野菜が食べられるけど,昔は緑黄色野菜を冬に食べることはむずかしかったんだよ。」
「つまり,ビタミン類のたくさんあるカボチャを食べて,寒い冬を乗り切ろうとしたというわけですね。」
「そうだね。冷蔵庫のなかった時代,カボチャは貴重な野菜だったんだね。」
「そうか! カボチャは,夏の太陽のめぐみを詰め込んだ『魔法の缶詰』みたいなものだったわけですね。」
「昔の人は,植物と仲良しで,植物(この場合は野菜)の特徴を生かして,いろいろと工夫して生活してきたということだね。」
「それで,冬至の日にカボチャを食べるという習慣があるんですね。」
「何だかおなかがへってきたなあ。カボチャスープでも,カボチャパンでも,カボチャサラダでも,何でもいいけど早く食べたいなあ。」
「よーし! まかせろ。モンタ博士がカボチャの煮物を作ってあげよう。」
「へえー。モンタ博士はお料理ができるんですか。」
「もちろんだよ。カボチャの煮物はモンタ博士の得意料理なのだ。」
モンタ博士のおいしいカボチャの煮物レシピ
カボチャ2分の1程度の大きさのものを適当に切り,砂糖 大さじ1,塩小さじ2分の1を加えてよくかきまぜて1時間ほどそのままおく。するとカボチャから水気が出てくる。その後,しょうゆを小さじ1入れ,水を鍋底7~8ミリになるまで足し,ぴったり蓋をして火にかける。沸騰したら火を弱め10分ほど煮る。最後に蓋を取り水分を飛ばし,少しゆすってほっこりさせれば,おいしいカボチャの煮物のできあがり。それから,ここが一番大切なポイントなのですが,ビタミンI(愛)も忘れずに!
なお,先日スーパーに行った時,ある掲示が目に留まりました。それはどういうものかというと,冬至には,「ん」のつく食べ物(冬至の七種)を食べると運が呼びこめるというものでした。ぎんなん,きんかん,かんてん,にんじん,だいこん,れんこん,うんどん(うどん),なんきん(かぼちゃ)など,2回「ん」のつくものを運盛りといって,縁起をかついでいた風習があるそうです。みんなで運を開きましょう。