2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(12)野菜・果物も植物だ! おどろきの世界
(312)ハスとレンコン
「モンタ博士,この前からハスについて,いろいろと教えてくれて分かったことがいっぱいです。」
「そうね,ハチの巣に似ているところから,ハス(蜂巣)という名前になったこととか,国立七小の池にハスを植えてくれたこととか,楽しみいっぱいね。」
「それはよかったね。ところでみんなは,レンコンという野菜を知っているかな? 漢字では『蓮根』と書くよ。見たことあるかな? 食べたことあるかな?」
「もちろんですよ。あのさくさく感がいいですね。」
「そうね。わたしも,あのしゃきしゃき感が好きですが,それがどうかしたのですか。」
「そのレンコンというのは,ハスの根の部分なんだけど,知っていたかな。」
「え! そうなんですか。まったく知りませんでした。」
「正しくは根というよりも,地下茎というものなんだけど,あのレンコンの穴を見たことあるよね。それでは,穴の数はどうなっているか知っているかい。」
「穴の数? そんなの気にして食べたことないです。」
「穴の数になにか『きまり』でもあるのですか。」
「そうなんだ。レンコンの穴の数は中央に1個,そのまわりに9個あるように見えるんだよ。実際に切ってみると分かるからやってごらん。」
「へえー。そうなんだ。今度レンコンを食べる時によく見てみます。」
「でも,レンコンって,どうして穴があいているのかしら。」
「それはね,水上から泥の下へと空気を運ぶためのものなんだよ。それから,レンコンの穴は,水上にある葉や葉の柄とつながっているんだ。」
「ということは,ハスの葉の柄の断面にも穴があいているということですか。」
「そのとおりだよ。おもしろそうだから,そのうち実験観察してみようね。」
「へえー。そうなんだ。つまりストローみたいなわけですね。」
「そうさ。だから,葉の柄の上と下を切ればストローとして遊べるね。」
「それじゃ,シャボン玉遊びもできるというわけですね。」
「穴も大小さまざまな穴があいているので,いろいろな大きさのシャボン玉が一度にできるね。ゆっくりと吹けばシャボン玉が次々できて,ブドウのようになるだろうね。」
「それは楽しそうですね。わたし,早くやってみたいです。」
「まだあるぞ。お風呂に入って忍者のように『水遁の術』もできるね。それから,大きな葉っぱだから,傘のようにすれば雨にもぬれないですむよ。まだまだあるよ。葉っぱの表面をよく見るとね,水をはじくようなつくりになっているんだよ。」
「ということは,水玉を動かして遊べるというわけですね。」
「そうだね。とても楽しいからぜひやってみよう。」
「ハスって,お花はきれいだし,根っこは食べられるし,葉っぱで遊べるし,いろいろと楽しめるのですね。」
「ぼく,なんだかハスが好きになってしまいました。」
時空を超えた生命の力
古代ハスの
研究者である
東京大学農学部教授の
大賀一郎先生が,1951
年に
弥生時代の
地層から,ハスの
実を
発見しました。このハスの実は2000年も
前のものでした。そして,大賀先生は,この
種子を
大切に
育てて
発芽させ,
開花させたそうです。このハスの種子は
全国に
配布され,あちこちに大賀ハスが
見られるようになりました。
また,ツタンカーメンのエンドウ
豆も
同じような
内容で
有名です。1922
年,イギリスの
考古学者であるハワード・カーター
先生により
発見された「
王家の
谷」にあるツタンカーメンの
墓から
発掘された
埋蔵品とともに
見つけられました。ともに
長い
時空を
超えた
種子の
生命力には
感動させられます。なお,どちらもネットで種子の
購入は
可能なようです。