2.植物の世界
(11) おいしい植物の世界
(306)ドングリ(シイの実)を食べよう!
「あ! モンタ博士,何をやってるんですか。」
「フライパンを持って,お料理教室ですか。」
「そのとおり。縄文時代のお料理教室さ。」
「縄文時代の? お料理教室? どういうことですか。」
「この前,5年1組の子供たちと谷保天満宮に行った時に,拾えなかったシイの実をこれから食べるということさ。」
「え! ドングリって食べられるのですか。」
「ドングリというのは,日本には20種類くらいあるんだ。その中で,シイの実は食べられるんだ。シイの実は正しくは,スダジイというブナ科植物の木の実なんだ。ほかにマテバシイというのも食べられるよ。縄文時代の人たちは,こういう木の実をたくさん食べていたんだ。」
「どんな味がするのかな。早く食べたいな。」
「おっと,その前に,少し観察してみようよ。気がついたことを言ってごらん。」
「色は茶色で,ふつうのドングリと同じだな。」
「形はちょっとちがうみたいだね。ふつうのドングリよりとがっているね。」
「なるほど,今まで自分が見たドングリとくらべてみるというのはとてもいいことだ。くらべることは,『科学のはじめの一歩』だね。」
「それに,モンタ博士。ふつうのドングリって,おわんみたいのがあるでしょ。でも,このドングリには,そんなものがないよ。」
「なんだか,着物を着ているみたい。」
「コートをはおっているみたいだ。」
「そうだね。いろいろなことに気がついたね。それでは,いよいよ食べるか。」
「でも,ドングリって,虫が入ってないかな。」
「いいこと言うね。さあ,ここで問題だ。縄文時代の人はどうやって虫食いのドングリを見つけたでしょうか。さあ,考えてごらん。」
「うーん。そうだな。一つ一つ調べたのかな。」
「それとも,重さをはかったのかな。」
「いろいろ考えよう。あれこれと想像することも『科学のはじめの一歩』だね。」
「モンタ博士,何かヒントをください。」
「虫に食われたドングリは,中が空っぽになるよ。そうすると・・・。」
「そうか。水にうかべればいいんだ。虫に食われていないドングリはしずむんだ。でも,虫に食われたドングリは,軽くなってうき上がるんだ。」
「ピンポーン。そのとおり。よくできました。それではみんなで食べよう。」
「その前に,どうやってお料理するのかしら。教えてモンタ博士。」
「油も入れずにドングリを少しいるだけさ。われめが見えたらできあがり。熱いから気をつけよう。さあ! みんなめしあがれ。」
「あ! おいしいよ。クリみたいな味がするね。」
「そうだ。うまいうまい。クリみたいに干すともっとおいしくなるだろうね。」
「うん! おいしいね。ほんのりちょっぴりのあまさがいいね。」
「ふむふむ。うまい。やめられない止まらない! シイの実だ。」