3.動物の世界
(6)チョウ・ガのなかま
(301)けむし・ケムシ・毛虫
「おや,花ちゃん,どうしたんだい。朝から浮かない顔をして。2学期が始まってはりきっていたじゃないの。」
「実は・・・,通学路に毛虫がいっぱいいるのがイヤで・・・。」
「そうそう,大きな毛虫がモコモコ歩いているんですよ!見ているだけでかゆくなりそうだよね。」
「アメリカシロヒトリの幼虫かな? 虫のことはフッタ博士に聞いてみよう。」
「はいはい。(捕まえた毛虫を見ながらインターネットで検索する)。あ~,これは『モンクロシャチホコ』という蛾の幼虫みたいですね。『桜毛虫』って呼んだりするそうだよ。毛がまばらで気持ち悪さ20%アップみたいだね。蛹になるため木から下りて,地面に潜ろうと歩き回っているんだよ。」
「毒のない毛虫で,人間に害はないそうだ。よかったね。国立市のHPにも載っているんだなあ。」【後述】
「薬をまいて駆除できないのかしら?」
「薬をまくとほかの虫や生き物にも影響があるんじゃないのかな。」
「そう。見た目が気持ち悪い『不快昆虫』だからといって,やたらにいじめないでほしいな。蝶の幼虫にだって,気味悪い芋虫・毛虫がいるよ。」
「このあいだ『チャドクガ』を駆除しましたね。あれは毒のある種類ですよね。」
「全部の毛虫がかゆくなるわけじゃないのね?」
「そうだね。日本に数千種いるという蛾のうち,注意が必要な毒毛虫はごくわずかななかまなんだ。ドクガ科(ドクガ;百種以上の植物につく,チャドクガ;サザンカやツバキ),カレハガ科(松毛虫=マツカレハなど),イラガ科(カキのトゲトゲ虫),マダラガ科(タケノホソクロバなどクロバ類)などだね。」【本や図鑑を示しながら】
「蛾といえば怪獣『モスラ』。東京タワーで蛹になり,ゴジラと戦いました。」
「毛虫といえば『ケムンパス』でやんす。」
「『はらぺこあおむし』ならかわいいと思うわ。」
「ちょうど英語の先生が原書を持っていたよ。“The Very Hungry Caterpillar”,ブルドーザーや戦車の『キャタピラー』と同じ。恐い怪獣,ギャグまんがの脇役,人気の絵本と,評価が分かれる虫だね。」
【国立市HPより】
モンクロシャチホコは害虫ではありません
毎年主に涼しくなる9月頃,大学通りの桜を始め,市内のあちらこちらの桜の木からたくさんの毛虫が地面に這い下り,道を歩いていたりします。黒くて大きめの良く目立つ体に黄色っぽい毛がびっしり。しかも一匹や二匹ではなく,そこかしこにいます。一目見ただけでゾッとする方も多いのではないでしょうか。 その正体は,モンクロシャチホコという名の蛾の幼虫です。
モンクロシャチホコとはどんな虫?
成熟した幼虫の体長は,約5センチほどで紫黒色の体に黄色みがかった毛が生えています。桜をはじめ,梨や梅などのバラ科の植物を好みます。シャチホコの名前の由来は,幼虫がシャチホコみたいに頭と尾をふりあげるポーズが得意だから,この名前が付いたという話もあります。
幼虫は,葉を大量に食べて育ち,毎年,8月から9月頃に樹上から地面に降りてきます。そして,落ち葉や浅い土中に潜り,さなぎになって,冬を越し,6月から7月にかけて成虫になります。
毒はないの?
見た目がグロテスクなだけでなく,たくさん道を歩いていますので,毛虫が嫌いな方の中には,「存在するだけで害」とおっしゃる方もいるかもしれませんが,モンクロシャチホコには毒がなく,人間には全く無害です。
でも,桜の若い苗木などは,大食漢のモンクロシャチホコにかかれば,葉を食べ尽くされ,丸裸にされてしまうこともあるため,若い桜の木には困った存在ではあります。
駆除はしないの?
モンクロシャチホコは,桜などの食害を除けば,基本的に人間には無害な存在ですから,むやみに駆除することはしません。なぜならば,駆除するためには,農薬を使用することになるからです。毒を持たないモンクロシャチホコを駆除するために,環境や人体に悪影響を及ぼす可能性のある農薬を散布することのデメリットの方が大きいと判断しているため,原則的には駆除はしない方向で考えています。
ただし,最近のモンクロシャチホコの大量発生が,今後,桜の樹勢にどのように影響するのか,また,どうしても駆除しなければならない場合に農薬を使用したり,発生を予防するために薬剤を樹幹に注入する方法をとった場合などにはどのような影響があるのか,天敵生物により減少させることはできないか等々について,専門家などのアドバイスを受けながら,様々な角度や分野から調査・検討していきます。
(問い合わせ先;生活環境部環境政策課 花と緑と水の係)