3.動物の世界
(5)ハチのなかま
(298)アシナガバチの巣 その2
「この前のお話の復習になるけど,六角形の育房がたくさんならんだアシナガバチの巣は,おうちのまわりでもよく見ることができる巣だね。」
「ハチの巣というと,アシナガバチの巣を思い起こすことが多いですね。」
「そうだね。みんながよく見るのは,アシナガバチとスズメバチの巣だね。ミツバチの巣は,またちがったものなんだよ。」
「ミツバチについては,以前『てくてく自然散歩』でも紹介してくれましたね。」
「そのとおり。よく覚えてくれていたね。うれしいね。ミツバチのお話1,2,3とあるんだったね。」
「今度見てみます。ところで,アシナガバチの巣は,どうやって作るのですか。その前に,どんなものを使って作るのですか。」
「いい質問だね。まず,アシナガバチは,木の枝の皮や木材のささくれ,植物の葉に生えた毛などのいろいろな植物繊維を口に入れて,自分の唾液とまぜることで,巣の材料にするんだよ。」
「それを,女王バチ,つまりお母さんバチは1匹で全部するのですか。」
「そのとおり。とても働き者なんだね。」
「すごいですね。さすが,お母さんですね。」
「モンタ博士! 質問ですが,植物繊維を材料にするというのは,和紙と同じような作りということなのですか。」
「そのとおり。よく気がついたね。オー君はえらい!」
「そのあと,どうなるのですか。」
「アシナガバチは,まず女王バチが少ない育房の巣を作って産卵するんだ。そして,自分の子供である働きバチが育ってくると,共同で巣を大きくするけど,そのころになると女王バチは,産卵に専念するんだ。この作業をするのは,冬眠をして新しく生まれた女王バチだけなんだ。つまり,女王バチはとてもえらいのさ。」
「へえー。そうなんだ。ハチの巣を見ると,1本の柄がありますね。」
「それを巣柄というけど,その下に育房をぶら下げるようにしてできてるんだ。」
「まずはじめに,その巣柄というのを作るのですね。」
「その巣柄を作るのが大変なんだ。何もないところから,何度も材料を持ってきて,一生懸命に作るんだね。接着剤なんてないのに,自分の唾液と植物繊維,さらに木のヤニなども使うらしいよ。ともかく,大変な作業なんだね。」
「育房というのは,だいたいが下を向いているようですね。」
「これも何か意味があるようですね。」
「そうか! 分かった。育房の口を下に向けることで,雨にぬれず,ぶら下がる巣は,アリなどの進入を防ぐようにできてるんだ。」
「ハチってすごいんですね。いろいろと考えているんですね。」
「さらに,ハチの巣には,アリなどの他の生き物たちが嫌うような物質をつけたりもすると言われているんだよ。」
「へえー。すごいんですね。ハチの世界ってとてもおもしろいですね。」
「そうだね。生き物の世界は不思議でいっぱいということだね。」