3.動物の世界
(3)脊椎動物のなかま
(273)トウキョウサンショウウオの里親
「今日はトウキョウサンショウウオの卵についてのお話だよ。今の季節,山際の田んぼやちょっとした池や沼地に産んでいるんだ。」
「サンショウウオはカエルやイモリの仲間だから,卵がゼリーのようなもので包まれているんですね。つぶつぶが入った透明なバナナみたい。」
「私はパンのクロワッサンに似ていると思うわ。」
「何粒の卵が入っているかな? 種類によって卵の袋(卵嚢)の形はちがうよ。」
「カエルの子はおたまじゃくしだけど,これは何だか細長いね。どんなのが出てくるんだろう。」
「昔,人気のあった“ウーパールーパー”みたいな姿だよ。」
「本当。小さい魚みたい。だから“ウオ”なのかしら。」
「サンショウウオの幼生(子供)は鰓が外に出ているし,足も前足が先に生えてくるなど,おたまじゃくしとちがいがあるよ。はじめだけ“バランサー”というひげみたいなものが生えている。そして兄弟同士猛烈に共食いをするんだ。早く成長した者が上陸する。」
「去年,校長室前で育ててましたね。自分でも飼ってみたいわ。難しいですか?」
【写真);餌をくれ!と見上げる姿】
「モンタ博士と相談して,希望者に『里親』になってもらうことにしたよ。おたまじゃくしをカエルまで育てたことがある人なら大丈夫。餌の用意と与え方が大変だけど,なれてくるとピンセットから食べるんだ。かわいいよ。」
「どんなことに気を付ければ良いですか?」
「コップやジャムの空きびんみたいな小さい容器で1匹ずつ飼います。エアポンプもフィルターもいりません。鰓があるうちはふたもいりません。2,3日おきに水を半分くらい取り替えるだけ。餌は冷凍赤虫を溶かして,ピンセットで1匹ずつつまみ,サンショウウオの顔の前で動かしてやるとパクって食べます。気長につきあってください。」
「冷凍赤虫ですか。ペットショップで売っていますね。」
「ほかの餌はどうかしら。動かない物は食べないんですか。」
「そう。目の前で動く物をパクリ。熱帯魚のフレーク状の餌で飼ったという話もあるから,いろいろ試してみたら。本当は生きたイトミミズがよいけど,扱うお店が少なくて高価だし,イトミミズの世話がもっと大変なんだ・・・。」
「途中で飼えなくなったり,鰓がなくなって上陸しそうになったら,学校に持って来てください。もとの生息場所にもどしますよ。まず予約してください!」