トウショキッズ 東書KIDS

  • HOME
  • みなさまへ
  • 保護者の方へ
  • 先生へ
花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
3.動物どうぶつ世界せかい
 (5)ハチのなかま
(262)ハチのひみつの世界 12 「アシナガバチ(1)」
写真
オーくん
「あれあれ,これはアシナガバチだ。」

花ちゃん
「わたし,ちょっとこわいわ。」

オーくん
「だいじょうぶだよ。モンタ博士(はかせ)(はなし)をよーく()いて,アシナガバチについての(ただ)しい()(しき)()とうね。」

「そうだね。それでは,アシナガバチがどのような生活(せいかつ)をするか,(はる)から(ふゆ)までのようすを()ていくことにしよう。」
モンタ博士

花ちゃん
「やっぱり(ふゆ)はアシナガバチはいないのかな。」

そうだね。ミツバチをのぞいてほとんどのハチは(ふゆ)活動(かつどう)しないのさ。」
モンタ博士

オーくん
「それじゃ,アシナガバチはどこにもいないということなの。」

(ふゆ)(あいだ)は,写真(しゃしん)のような()(かわ)のすき()などにかくれているんだ。そして,(はる)になるとめざめるんだ。この(とき)のハチは全部(ぜんぶ)メスバチでお(かあ)さんバチだね。」
モンタ博士

写真
花ちゃん
「オスのハチはいないの。」

「オスはいないんだ。たった1ぴきの母親(ははおや)バチが()(つく)り,たくさんの幼虫(ようちゅう)(そだ)てるのさ。」
モンタ博士

オーくん
「まず(はじ)めに(なに)をするの。」

冬眠中(とうみんちゅう)使(つか)いはたしてしまったエネルギーをえるために,(はな)(みつ)をなめるのさ。そして,元気(げんき)いっぱいになったら,まず,巣作(すづく)りだね。」
モンタ博士

花ちゃん
(いま)までいろいろなハチの()についてお(はな)ししてもらったけど,復習(ふくしゅう)すると,(つち)(なか)やドロを使(つか)うものもいたわ。それから,竹筒(たけづつ)()(つく)るハチもいましたね。」

オーくん
「アシナガバチはそのどれでもないみたいだな。」

「そのとおりさ。アシナガバチの()材料(ざいりょう)は,かれた()(くさ)なんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「かれた()(くさ)ですか。」

「そうなんだ。(あめ)(かぜ)にさらされたざらざらの()さ。それを(すこ)しずつするどいあごでかじりとってひとまとめにするんだね。」
モンタ博士

オーくん
「その(あと)()にするの。」

「まあまあ,そんなにあわてないでおくれ。アシナガバチの母親(ははおや)はそれをさらにかみ(つづ)けるうちに,繊維(せんい)のかたまりはどろどろになるんだ。このどろどろのかたまりにはね,ハチの唾液(だえき)もまじっているんだね。それで,より(つよ)くじょうぶになるということだね。」
モンタ博士

花ちゃん
「ねえねえ,オー(くん)。わたしたちが使(つか)(かみ)原料(げんりょう)植物(しょくぶつ)繊維(せんい)でしょ。」

オーくん
「うん。それがどうかしたの,(はな)ちゃん。」

花ちゃん
「つまり,アシナガバチの()は,(かみ)とほとんど(おな)じような材料(ざいりょう)でできた,紙の巣というわけですね。」

「さすがは,(はな)ちゃん。よく()がついたね。くわしく()うとね,アシナガバチの()は,日本(にほん)和紙(わし)みたいなものといってもいいかもしれないね。ある(ほん)には,大昔(おおむかし)(ひと)がアシナガバチの()(づく)りのようすから,(かみ)(づく)りのヒントをえたのではないかといわれているんだ。」
モンタ博士

オーくん
「ふーん,そうなんだ。自然(しぜん)のすがたから,人間(にんげん)はいろいろと(まな)んできたんだね。ところで,その(あと)巣作(すづく)りはどうなるの。」

材料(ざいりょう)のかたまりをくわえ,()(つく)場所(ばしょ)にもどり,はじめに巣の()部分(ぶぶん)を作るのさ。」
モンタ博士

写真
花ちゃん
()部分(ぶぶん)(とく)念入(ねんい)りに(つく)るんですね。」

「そうだね。その(あと)(おお)きな()をささえる()だから,かたく(つよ)くじょうぶなものにするんだ。そして,柄の(した)部屋(へや)(つく)るんだ。」
モンタ博士

オーくん
「うすくのばして筒形(つつがた),つまり,カップ(じょう)(かたち)にするんだな。かわくとうすい(かみ)のかべでできた部屋(へや)になるというわけですね。」

花ちゃん
「でも,ふしぎだわ。アシナガバチは,どんな道具(どうぐ)使(つか)うのかしら。」

「そこがまたおどろきなんだ。ハチたちは(おお)あごをコテのようにしたり,(しょっ)(かく)(じょう)()がわりに使(つか)いながら()(づく)りをするのさ。」
モンタ博士

オーくん
「つまり,母親(ははおや)バチの(からだ)全部(ぜんぶ)が,()(づく)りの道具(どうぐ)というわけですね。」

花ちゃん
母親(ははおや)バチは(なん)()(ざい)(りょう)(はこ)びをするんでしょ。そして,(ひと)(ひと)()(つく)っていくのね。それも全部(ぜんぶ),母親バチ1ぴきでやるんでしょ。やっぱりお(かあ)さんはえらいなあ。」

「そのとおりだね。()んでいるとちゅうに,小鳥(ことり)におそわれたり,クモの()にかかったりするかもしれないし,危険(きけん)がいっぱいなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「つまり,母親(ははおや)バチは(いのち)がけなんだね。すごいね。」

「そうだね。そして,ようやく(ひと)つの()ができると,そこで,たまごを()むんだ。写真(しゃしん)でも()かるかな。矢印(やじるし)のところがたまごだよ。」
モンタ博士

写真
花ちゃん
「やっとたまごが()まれたんですね。めでたしめでたし。」

「でも,まだまだ(はは)(おや)バチのお()(ごと)はいっぱいあるんだよ。このつづきはまたあしただね。」
モンタ博士

アシナガバチの防犯(ぼうはん)システム
 母親(ははおや)バチは,自分(じぶん)腹部(ふくぶ)からアリの(きら)物質(ぶっしつ)()すことができます。この物質を()のつけ()部分(ぶぶん)()りつけておけば,母親バチの留守(るす)(あいだ)もアリは(ちか)づくことができません。アシナガバチの巣は,(わたし)たちには(かん)じることのできない化学(かがく)物質(ぶっしつ)(まも)られているということです。しかし,この防犯(ぼうはん)システムの化学物質も()()がいつまでもあるというわけではありません。(なに)かの()(ゆう)で母親バチの(かえ)りが(おそ)くなったりすれば,巣はたちまちアリたちにおそわれてしまいます。母親バチの()(づく)りはそのような()(けん)(たたか)いながら(おこな)われているということです。
   てくてく自然散歩シリーズ
このページの先頭へ