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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
3.動物どうぶつ世界せかい
 (5)ハチのなかま
(255)ハチのひみつの世界 5 「ジガバチ」
写真
花ちゃん
「きのうお(はな)ししてくれると()った『ジガバチ』というのはどんなハチなんですか。」

オーくん
「ミンミンゼミというのは,『ミーンミーン』と()くだろう。それで,ミンミンゼミというんでしょ。だから,ジガバチも『ジガジガ』と鳴くのかな。」

「ピンポーン,そのとおり。でも,ハチが()くのではなくて,はねをブンブンと鳴らす(おと)なんだ。羽があまり(ちい)さくてうすいから,それで,ジガジガと()こえるのさ。」
モンタ博士

花ちゃん
「ふーん,そうなんだ。ところで,(うえ)()がジガバチですか。とてもスマートでスリムですね。」

オーくん
「それに,(なが)()のように(ほそ)くくびれているんだね。」

矢印(やじるし)のところは,(あか)(おび)のようになっていて,(ほか)はどこも(くろ)いのがとくちょうさ。」
モンタ博士

花ちゃん
「ジガバチはどんな生活(せいかつ)をしているんですか。」

「まず,ジガバチは地面(じめん)(あな)をほるんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「どうやって,(あな)をほるのかしら。」

「まず,人間(にんげん)ならばシャベルを使(つか)うね。(いぬ)ならば(まえ)(あし)を使うね。でも,ジガバチは(くち)でかみついたり,足も使ってほるんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「その(),ほり()わったらどうするの。」

「えものを()りに()くんだけど,その(まえ)にジガバチはきちんと()じまりをするんだ。」
モンタ博士

写真
オーくん
()じまり? 戸じまりって,よそに()くときに玄関(げんかん)の戸をしめるように?」

「そうなんだ。おもしろいことをするね。そこで(かんが)えてみようよ。どうしてそんなことをするのかな。」
モンタ博士

花ちゃん
「せっかくほった(あな)(ほか)(むし)(はい)()んだらたいへんだからですか。」

「そうだね。アリやムカデ,クモなどいろいろな(むし)がいるからね。」
モンタ博士

オーくん
「そして,その()()りを(はじ)めるんですね。」

「そうだね。ジガバチのえものは(なん)だったかな。」
モンタ博士

花ちゃん
(おお)きなイモムシですね。おすもうさんのように(ふと)っているし,(からだ)は大きく(なが)いですね。ジガバチはだいじょうぶでしょうか。」

オーくん
「ジガバチは,やせっぽちだし,(よわ)そうだよ。」

「ところがすっとこどっこい,だいじょうぶ。ジガバチはなにくそ! と,イモムシの(うえ)()()るんだ。そして,オレンジ(いろ)のおしりをくるりと()げて,イモムシの(からだ)(した)におしりの(はり)をさしたとさ。すると・・・。」
モンタ博士

花ちゃん
「すると・・・,不思議不思議ふしぎふしぎ! イモムシは(からだ)(まる)めて,それきり(うご)かないわけですね。」

オーくん
「ジガバチくんのスーパー麻酔(ますい)(じゅう)のパワー全開(ぜんかい)というわけだ。」

花ちゃん
「ところが,まだまだたくさんのお()(ごと)がのこっているんですよね。」

「そうだね。このイモムシをさっきほった(あな)まで()っていかなくてはならないんだね。100メートル()きずったという記録(きろく)もあるよ。」
モンタ博士

オーくん
「よいしょ,こらしょっと(はこ)んで,()(なか)れてからすることは・・・。」

花ちゃん
「そうです。麻酔(ますい)をかけたイモムシのおなかの(うえ)にたまごを()むのです。」

オーくん
(だい)()なお()(ごと)はそこまで。(あと)(あな)をふさいで,バイバイというわけだ。」

「その()はどうなるんだろうね。」
モンタ博士

花ちゃん
地面(じめん)(した)()では,たまごがかえり,ジガバチの()どもの(とう)(じょう)。」

オーくん
「そして,ジガバチは自分(じぶん)()っているのは,ねどこではなくて,(おお)きなお(べん)(とう)(ばこ)だと()がつくんですね。」

「そうだね。そして,おちちを()むように,イモムシの(からだ)のしるをごくんごくんと飲み(はじ)めるのさ。」
モンタ博士

花ちゃん
「お(かあ)さんジガバチがしっかりと麻酔(ますい)をかけてくれたので,安心(あんしん)してごくんごくんと()めるのね。」

「そうだね。そして,そのうち,イモムシよりも(おお)きくなって,(くち)から(ほそ)(いと)をはいて,(からだ)のまわりにまゆを(つく)るんだ。そして,さなぎになって,(はる)をじっと()つのさ。」
モンタ博士

吉田(よしだ)兼好(けんこう)の「徒然草(つれづれぐさ)」にも登場(とうじょう)
 日本(にほん)三大(さんだい)随筆(ずいひつ)というものがあります。つまり,清少納言(せいしょうなごん)の『(まくら)草子(のそうし)』,鴨長明(かものちょうめい)の『方丈記(ほうじょうき)』そして,吉田(よしだ)兼好(けんこう)の『徒然草(つれづれぐさ)』。その名著(めいちょ)(なか)にこのジガバチもきちんと記載(きさい)されています。このジガジガという羽音(はおと)(むかし)(ひと)もよく()いていて,ジガバチと命名(めいめい)する由来(ゆらい)になったといわれています。昔の人は(むし)行動(こうどう)本当(ほんとう)によく()ていたと感心(かんしん)させられます。きっとハチがイモムシを(つち)(なか)()めているのを見て,「おもしろいことをするな。どうなるのかな。」と(おも)っていたのでしょう。すると,そのうち(はる)になってからハチが()てくるではありませんか。「きっとイモムシがハチに姿(すがた)()えたのだ。なぜなら,ハチは『()()(われ)()よ!)似我(我に似よ!)』と呪文(じゅもん)をかけていたもんなあ。」と(かんが)えたのでしょう。
   てくてく自然散歩シリーズ
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