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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
3.動物どうぶつ世界せかい
 (5)ハチのなかま
(254)ハチのひみつの世界 4 「りバチ」
花ちゃん
「きのうは,寄生(きせい)するハチのお(はなし)でしたね。」

オーくん
今日(きょう)は,どんなお(はなし)をしてくれるのかな。」

「きのうの寄生(きせい)バチは,(からだ)(なか)にたまごを()みつけたね。でもね,そのうちにたまごを体の中でなく,表面(ひょうめん)に産みつけるハチがあらわれたんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「でも,そんなことができるのかな。」

(はな)ちゃん,どうしてそう(おも)うの。」
モンタ博士

花ちゃん
「だって,(うご)いている(むし)表面(ひょうめん)()みつけたら,せっかくのたまごがポトリと()ちてしまうわ。」

オーくん
「そうだよ。それに,その(むし)にたまごがふみつぶされてしまうかもしれないよ。」

花ちゃん
「そしたら,たまごがだめになってしまうわ。」

「そうだね。そこで,(うご)いている(むし)にたまごを()むために,(さん)卵管(らんかん)付属(ふぞく)(せん)というものを,毒腺(どくせん)というものに()えたんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
(どく)(せん)? なんですか。もう(すこ)()かりやすくお(はな)ししてください。」

「つまりね,(むし)(うご)(まわ)らないように,また,虫の動きをまひさせるために毒液(どくえき)()すようにしたのさ。ようするに麻酔(ますい)だね。」
モンタ博士

オーくん
「つまり,()医者(いしゃ)さんに()って, (むし)()がひどくなると,()(しん)(けい)をとるときに『ちくり』と注射(ちゅうしゃ)するけど,それと(おな)じなの。」

「そのとおりだね,うまいたとえだね。神経(しんけい)がしびれて,()のいたみがなくなると(おな)じなのさ。」
モンタ博士

花ちゃん
「ハチにちくりとさされて,(むし)がぐにゃりとなってしまうのね。」

オーくん
「そうすれば,たまごは()っこちないし,ふまれたりしないわけだ。」

花ちゃん
「そのちくりとさされた(むし)()んでしまったのですか。」

()んでしまったのではないんだよ。(ころ)してしまっては,そのうちくさってしまうだろう。そして,カビがはえたり,えさにはならなくなるだろう。」
モンタ博士

オーくん
「つまり,(からだ)毒針(どくばり)をさして麻酔(ますい)して(うご)けなくさせるんだ。」

「そうだね。それまでのハチはたまごを()むための『(どう)()』だった(さん)卵管(らんかん)が,相手(あいて)をやっつける『武器(ぶき)』になったというわけなんだ。そして,そういう(むし)のことを『()りバチ』というんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「モンタ博士(はかせ)! どんな()りバチがいるんですか。」

「そうだね。()りバチというのはね,それはそれはいろいろな種類(しゅるい)がいてね,狩りや生活(せいかつ)のようす,えさなどもいろいろなんだ。とてもバラエティーにとんでいて,それはそれはおもしろく,めちゃくちゃわくわくドキドキの世界(せかい)だよ。」
モンタ博士

オーくん
「モンタ博士(はかせ)! いろいろな()りバチのお(はなし)をして!」

「それでは,もっともふつうに()られるジガバチのお(はなし)をあしたからしようね。」
モンタ博士

オーくん
「うわあー,ヤッター! あしたが(たの)しみだ。」

 
●いろいろな()りバチ
写真
写真
()(ぜん)(おく)(ぶか)
 ハチは獲物(えもの)複雑(ふくざつ)神経(しんけい)(けい)組織(そしき)をよく理解(りかい)して,(かんが)えながら(はり)()しているのでしょうか。そんなに(かしこ)いのでしょうか。どうやら,いろいろな実験(じっけん)をやっていくと,そうでもないということが(さい)(きん)()かってきたようです。ハチの(こう)(どう)(すべ)(ほん)(のう)(めい)(れい),本能の(あた)える(れい)(かん)のままのようです。(こん)(ちゅう)()(ぶん)のしていることを自分の(あたま)(すこ)しも理解していないということが分かってきました。つまり,本能に()(うご)かされて,どうしてもそれをしないではいられないようです。では,その本能の命令はどこからくるのでしょうか。生物学的(せいぶつがくてき)にはいろいろな学者(がくしゃ)がそれなりの(せつ)()べています。(たと)えば,(おや)素質(そしつ)子供(こども)(つた)えられたという遺伝説(いでんせつ)(つよ)(もの),また(かん)(きょう)(てき)(おう)した者だけが()(のこ)れるという()(ぜん)(とう)()(せつ)などいろいろありますが,どれも本能の不思議(ふしぎ)(はたら)きを十分(じゅうぶん)説明(せつめい)しているとはまだまだいえないようです。人間(にんげん)の頭で(かんが)えたり,説明(せつめい)しきれない(おく)(ぶか)崇高(すうこう)神秘的(しんぴてき)なものが昆虫(こんちゅう)植物(しょくぶつ)自然(しぜん)世界(せかい)にはまだまだたくさんあるのではないでしょうか。
   てくてく自然散歩シリーズ
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