3.動物の世界
(6)チョウ・ガのなかま
(204)「ガ」のまゆもいろいろあるね
「あれあれ・・・,これは何ですか。」
「あれあれ・・・,これはひょっとして,いろいろな『ガ』のまゆですね。」
「ピンポーン。そのとおりさ。まゆだね。」
「まゆといったら,カイコのまゆくらいしか見たことないわ。」
「まあ,カイコも正しくはカイコガという名前のガなんだよ。」
「へえー,そうなんだ。やっぱりオー君はくわしいわね。ところで,まゆといってもいろいろあるんですね。大きさや形などもちがいがあるんですね。」
「そのとおりさ。えーっと,まず1は,ウスタビガのまゆだね。」
「へえー,そうなの。ちょっと黄緑色していて,とてもきれいだわ。」
「そうだろう,そうだろう。続いて,2は,クワゴといって,カイコの原種(品種改良する前のもともとの種)と言われているんだ。野生のカイコとよばれているけど,まゆはカイコより小さくて絹糸をとるほど実用的ではないようだね。」
「へえー。そうなの。」
「次に,3はヤママユガのまゆだね。とても大きいだろう。これは,テンサン(天蚕)とも言って,絹よりも高価(ねだんが高い)といわれているんだよ。またの名前を《山蚕》と書いて,『ヤマコ』というんだ。これは,《飼蚕》と書いて『カイコ』とよぶのに対して使うらしいよ。」
「へえー,そうなの。それじゃ,残った4は・・・? 何かしら。」
「これはね,クスサンというガのものなんだ。網のようになっていて,たわらみたいだろう。それで,スカシダワラとも言われているんだ。」
「へえー,そうなの。オー君はいろいろと知っているね。すごいわね。」
「『知るは楽しみなり』と言ってね。いろいろと知識をもつことはすばらしいことなんだよ。」
「ところで,オー君。どうしてクスサンのまゆは網目になっているのかな。考えたことあるかな。」
「そういえば,そうですね。でも,おいら考えたことないです。」
「知識は,とても必要なことだけど,それ以上に,いろいろと自分で想像することは,もっともっと大切なことだと思うよ。」
「はい。分かりました。でも,どうして,網目なのかな。上の1・2・3は,どれも紙のような糸があるような感じですね。」
「自然の世界には,偶然なんてないんだ。それなりに,みんな色や形など,理由やわけがあるんだよ。」
「うーん。そうか・・・。あ! ひょっとして,クスサンというガは,夏の暑くて湿度のある季節に羽化するんじゃないかな。だって,網目のようになっていれば,いくら暑くても風通しもいいし,中の幼虫だって助かるんじゃないかな。」
「なーるほど。本当かどうか分からないけど,おもしろい考えだね。きちんと,その理由を知っている人は,ぜひ教えてください。」