3.動物の世界
(3)脊椎動物のなかま
(4)鳥のなかま
(178)鳥の寒さ対策
「へんなくちばしのカモ? ・・・いや,このカモはくちばしがないのだ。」
「くちばしのないカモなんているはずないでしょ。」
「うーん。そうか・・・,そうだよな。もっとよく見てみようよ。」
「くちばしがないのではなくて,くちばしをかくしているみたいね。」
「そうか,このカモは,くちばしを背中()の羽毛()の中()につっこんでいるんだ。」
「まるで,毛玉()(羽毛()のかたまり)のようね。でも,どうしてそんなことをするのかな。」
「モンタ博士()に聞()いてみようよ。」
「モンタ博士()。カモが背中()にくちばしを入()れているけど,それはどうしてなの。」
「ほほー。それは,いいものを見()ることができてよかったね。どうしてか,答()えを聞()いてしまう前()に,ちょっと考()えてみようよ。今()の季節()は冬()だね。冬は寒()いだろう。そんなとき,みんなはどうするの?」
「手()ぶくろをしたり,マフラーをまいたりするよ。」
「そうすれば,はだが空気()にふれないから寒()くないわ。」
「そうだろう。鳥()だって同()じなのさ。」
「そうか,くちばしを羽毛()の中()に入()れれば寒()くないんだ。」
「そうね,寒()い時()は少()しでも体()温()がうばわれないようにしているのね。」
「フクロウのなかまなどは,足()の先()まで羽毛()におおわれているものもいるそうなんだ。寒()さをふせぐためにいろいろな方()法()があるんだね。ところで,ツルなどが片()足()で立()っているのを見()たことがあるかな。」
「うん,そういうの見()たことあるよ。この前()もアオサギが片()足()で立()っていたよ。」
「それも寒()さと何()か関()係()があるのかしら。」
「そうか,分()かった。足()を2本()出()しているよりも,1()本()の方()が熱()をうばわれないということなんだ。だから,1本で立()っているんだ。」
「なーるほど。足()を2本()いっしょにかくすことはできないものね。そうか,1本()ずつ交代()でおなかの羽毛()であたためているというわけなのですね。」
「そのとおりだね。鳥()のいろいろな生活()の様子()を見()ていくと,みんなそれなりの理由()とわけがあるんだよ。」
さらに驚()きの足()の秘密()・・・
さらに鳥()の足()には驚()きの秘()密()がある。それは,足の付()け根()部()分()の血管()の仕()組()みである。血管には動脈()と静脈()があるが,動脈のまわりを静脈が網()の目()のようにとりまいているということである。これを鳥の足の網()目()状()血()管()という。足の先()に送()られる熱()い動()脈()血()は,その熱()を網()状()の静()脈()血()に移()して冷()たくなって足の先に送られる。足の先から冷()えて戻()った静脈血は,動脈血に温()められ,熱い血()液()となって,もとに戻るのである。ここでみごとな熱交換()がなされる仕組みができているのである。熱い血液のために,氷()に穴()が開()いたり,冷たい血液で全身()が冷えきってしまうことはないのである。