2.植物の世界
(5)裸子植物のなかま
(175)ギンナンのにおいのひみつ
「花ちゃん,この前,話題になっていたギンナンのあのすごいにおいのことだけど。何のためにあるのか,という答えは出たの?」
「モンタ博士が想像力を働かせてと言っていたでしょ。だから,いろいろと考えたんですが・・・。あんまり自信がありません。」
「そんなことないよ。モンタ博士もいろいろな本をたくさん読んでみたけど,イチョウのギンナンのにおいについては,ただ悪臭があるとだけしか書いてなくて,分からないんだ。」
「あのさ,おいらはね。ギンナン,・・・つまり,種? 実? どっちでもいいんだけど,植物が種や実をつけるのは,どうしてかを考える必要があると,思うんだよね。」
「そうですね。種はいろいろな方法であちこちに動きますよね。実は鳥たちに目立つように赤い色をしているものが多いでしょ。それに,あまずっぱくて,おいしいものは,鳥たちにとっても大好物ですね。」
「でも,ギンナンはちがうみたいだね。」
「わたし,思うんですが,あのすごいにおいならば,動物たちは,ふつうはよりつかないのではと思うんです。つまり,あのにおいは,動物や鳥たちから食べられるのをふせいでいるのではと思うんです。」
「なーるほどね。あれだけのギンナンが落ちていても,タヌキやイノシシ,それからキツネなども食べないし,食いしんぼうのカラスも食べにこないみたいだしね。ひょっとして当たっているかもしれないね。大切なことは,今までの自分の経験や知識をフルに活用して考えることだと思うよ。」
「ふーん。イチョウの木一つにしてもいろいろなことが分かって楽しいね。」
「それから,イチョウという木は,大昔からある木でね。ジュラシック・パークの時代,つまり,恐竜がこの地球上にいたころからずっとある木なんだ。つまり,今あるいろいろな木のご先祖様みたいな木なんだよ。」
「なるほど。ご先祖様の木ですか。」
「ところで,イチョウの花って見たことあるかな。」
イチョウのめばな
イチョウのおばな
「え! 花? そういえば,イチョウの葉っぱやギンナンはよく見るけど・・・。」
「花は,4~5月ごろに見えるのさ。でも,その花というのは,あまりきれいな花ではないね。春になって,見つけられたらすごいよ。」
「どうして,きれいな花ではないの。」
「うーん。それじゃ聞くけど,どうして花はきれいなの。サクラやツツジみたいに,どうして花はきれいなの。きれいでなくちゃいけないの。」
「そんなの決まってるよ。花がさけば虫や鳥が来て,花粉を運んでくれるからだよ。だから,花はきれいでなくちゃいけないのさ。」
「でも,そうとも言えないんだ。虫たちにたよらずに風まかせで花粉を飛ばす植物もあって,風媒花というのさ。風媒花はきれいな花は必要ないんだよ。」
「そうか,マツやスギの花はほとんど目立たないわ。」
「大昔からある植物(イチョウ・マツ・スギ)ほど,風まかせの植物が多いのさ。」