2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(105)クチナシの花と実
「あれ? 何だろう,この白い花は・・・。」
「この花は,クチナシというお花よ。」
「今ごろ,こんなお花がさいているの?」
「ちがうわよ。このクチナシというのは,6月ごろから梅雨のころにさくんです。そうですよね,モンタ博士。」
「そうだよ。梅雨のころに,まっ白な花をさかすんだ。かおりがとてもよくてね。雨がふったりして,湿度が高いと,さらによいかおりがあちこちに満ちて,それはそれは,いいお花だね。夜には,スズメガの仲間がたくさん集まって,花粉を運んでくれるんだよ。」
「ふーん。そうなんだ。ところで,オレンジ色の花のつぼみのような,実のようなものは何だろう。」
「とてもきれいでしょ。これは,クチナシの実よ。」
「色水遊びができそうだね。」
「そうよ。すりつぶして水にとけば,絵の具のようになるのよ。むずかしい言葉で,カロチンとかいうらしいのよ。」
「クチナシの実の赤黄色いものは,いろいろなものに使われているんだけど,知っているかな。おせち料理がヒントだよ。」
「おせち料理・・・。うーん。また食べたくなっちゃったなー・・・。おいら,はらへってきたな。」
「オー君! まじめに考えてください。」
「栗きんとんを知っているだろう。あの黄色の色づけにはクチナシを使うんだよ。また,たくさんの和菓子やさつまいも,ラーメンのめんなどの色づけにも使うんだよ。」
「ふーん。そうなんだ。また,おなかへってきちゃうなー。ところで,どうしてクチナシというの。」
「それは,いろいろあってね。10月か11月ごろに赤黄色になるんだけど,この果実は,熟してもわれないんだ。それで,口なしになったとか言われているよ。」
クチナシのつぶやき
私は,クチナシです。あちこちのお庭に植えられていますが,もともとは,もう少し南の方のあたたかい地域に自生している木です。学名Gardenia jasminoidesのガーデニアとは「庭」,ジャスミノイデスとは「ジャスミンの香り」との意味です。果実にはカロチノイドの一種,クロシン(Crocin)が含まれていて,乾燥させた果実は古くから黄色の着色料として用いられたのよ。また,発酵させることによって青色の着色料にもなるそうよ。