3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(56)トンボの羽について
オオシオカラトンボ
「あ! これはシオカラトンボでしょ。」
「残念でした。これは,オオシオカラトンボというんです。」
「そっかあ。でも,よく似ているね。」
「似ていることに気がついたことが大切なんだよ。くわしく名前が分からなくてもだいたいこの仲間だろうと,分かることに意味があるんだ。」
「ところで,オー君は昆虫の観察が大好きでしょ。それで今までにいろいろなものを見てきたと思うけど,トンボって歩くのかな。」
「そりゃ,観察大好きオー君ですが・・・え! トンボの歩き方? ちょいと待てよ。トンボが歩くか・・・???」
「ねえねえ,トンボってどうやって歩くの。6本の足があるんだから,カブトムシみたいに歩くのかな。」
「そうだな。おいら,分かんなくなっちゃったよ。モンタ博士助けて。」
「モンタ博士も,トンボが歩く姿を見たことがないよ。ということは,トンボは歩かないのかな。しばらく待ってね。モンタ博士も調べてみるね。」
「花ちゃん,オー君。あれからモンタ博士がいろいろと調べたところ,いろいろなことが分かったから伝えるね。おどろき,サプライズばかりだよ。」
「それで,トンボは歩くの。」
「それが,トンボの足は歩くためでなく,スイッチということが書いてあったよ。」
「スイッチ? どういうことですか。」
「ドンボは歩くのが苦手で,少しの距離でも羽で飛ぶんだ。むだに飛んでつかれないように,足が草などにふれるとすぐに羽が止まり,足がはなれるとすぐに羽が動くしくみになっているのさ。つまりスイッチだよ。」
「そういえば,何かの本に,足の先はとても敏感で触覚のような役目をしていると書いてあったな。」
「ということは,飛んでいるときは足はどうなっているの。」
「飛んでいるときには,足を折りたたんでいるんだ。止まる直前に足を広げるのさ。」
「なーるほど。うまくできているんですね。」
「トンボの羽はとても軽くてじょうぶなんだ。だから,あんなに早く飛んだり,急旋回やホバリングまでできるのさ。」
「あのさ,おいら思うけど,羽は飛ぶためだけでなく,体を守る役目もあるでしょ。カブトムシやカナブンなどは,前の羽がとてもかたくてじょうぶだね。」
「そうだね。トンボは自分の身を守るために,羽を厚くじょうずにするだけではなく,うすくても性能のよいものにして飛ぶ力を強くしたんだね。」
「そういえば,トンボの羽の動き方はほかの虫とはちがうと思ったときがあるわ。」
「そうだね。セミやチョウ,ガ,ハチなども4枚の羽を使って飛ぶけど,トンボとはちょっとちがうんだ。何がちがうのかというと,セミなどは,前の羽と後ろの羽をいっしょに動かすようにフックのようなものがついているんだ。だから,トンボの方がより複雑な動きができるということなんだ。これからもいろいろな虫がどうやって飛ぶかを観察していこうね。」
双翅目(そうしもく)の羽について
ハエやカ,アブなどは2枚しか羽がないので,この仲間を双翅目といい ます。前の羽はきちんとありますが,後ろの羽は退化して小さくなってしまい,飛ぶための役目をしていないようです。その後ろ羽は,うちわ形やたいこばち形をしていて,平均棍と呼ばれるものになっています。