3.動物の世界
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
(55)ピッカピカのタマムシ君,登場
タマムシ
「うわー,とってもきれいな虫ね。たしか,タマムシというんでしょ。」
「そのとおりさ。タマムシさ。それにしてもおいらのデジカメ術はたいしたもんだろう。とっても上手に撮れているだろう。」
「この切り株の上にいるタマムシは生きているんでしょ。」
「もちろんさ。この写真を撮る時には,息をころして・・・。そろり,そろりと近づいたのさ。それにしても,みごとなかがやきが上手に撮れているすばらしい写真だ。」
「オー君,腕を上げたね。とても上手だ。玉のようにかがやいて見えるね。」
「え! 玉,たま,タマがどうかしたの。」
「いやだな。オー君。玉とは,タマムシの玉だよ。この玉は宝石という意味さ。宝石のようにかがやいているということさ。」
「きれいなのは分かったけど,タマムシの不思議を教えて。」
「待ってました。これから,オー君の昆虫てくてくだ。花ちゃん。何でもいいから質問してごらん。」
「では,質問1。オー君,どうしてタマムシはあんなにきれいなの。」
「待ってました,その質問。タマムシのあの美しさは色ではないんだよ。」
「色ではない? どういうことですか。」
「そうなんだ。モルフォチョウというチョウがいるけど,あのチョウと同じで色素の色ではなく,羽の凹凸に光が反射して出る色なんだ。これを難しいことばで『構造色』とか『光の干渉』とかいうんだけどね。」
「ふーん。何だかとっても難しい感じがするな。」
「そんなに難しく考えるのことないよ。CDのウラ面がにじ色に光るよね。あれと同じというわけさ。」
「では,質問2。オー君,どうしてタマムシはあんなに光らなきゃならないの。」
「またまた,この質問を待っていたんだよね。そもそも,虫の天敵は何かな。」
「それは,鳥でしょ。」
「そのとおりだね。鳥だね。鳥はひまさえあれば,虫をつかまえて生きるために食べるし,ひなたちのエサにするよね。その時,虫を食べようとした時に,『ピカッ』って光ったら,おどろくでしょ。おどろいて虫とりをやめるよね。そのために,タマムシは光るのさ。」
「そうか,私,思い出したわ。畑にCDがぶらさがっているのを見たことがあるけど,それは,鳥よけのためなのね。」
玉虫の厨子(ずし)
日本にある最古の仏壇と呼ばれるものが,法隆寺にある「玉虫の厨子」です。1300年前の飛鳥時代に造られたといわれています。厨子というのは,仏様の仏像やお経を入れるもので,高さが2mほどあるそうです。羽がいたんで,かがやきがなくなったために,1960年に模造されましたが,その時に使ったタマムシの数は,な,な,何と5348匹だそうです。