2.植物の世界
(6)種子を作らない植物のなかま
(53)ツクシだれの子,スギナの子
「♪つくしの子がはずかしげに顔を出します。もうすぐ春ですね♪」
「あれ,モンタ博士がへんな歌を歌っているぞ。」
「あまり聞いたことのない曲ですね。モンタ博士,だれの曲ですか。」
「かの有名な超スーパーアイドル『キャンディーズ』の曲さ。」
「キャンディーズ? 聞いたことないな。」
スギナとツクシ
「ところで,上の絵はツクシですね。それから,スギナですね。」
「そうだね。ツクシはかわしらしくて,子どもでも知ってるね。それに,ツクシは,野草料理の材料としても有名なんだ。特有の苦味がいいね。それに対して,スギナは畑の雑草としてこまった存在なんだよ。」
「モンタ博士『ツクシだれの子スギナの子』といわれているんでしょ。」
「そうだよ。スギナとツクシは,もちろん同じ植物なんだ。ただし,ツクシはスギナの子どもではないんだ。スギナというのは,ほかのアサガオやタンポポなど種で増える植物とちがって,『シダ植物』といって,『胞子』というもので増える植物なんだ。ツクシというのは,胞子をつくるものであって,普通の植物でいえば,『花』のようなものだね。」
「ふーん,シダ植物か。それじゃ,ふつうの植物はなんていうの。」
「種で増えるから,種子植物というんだ。種子植物には,マツやスギのような裸子植物と被子植物とかがあるんだ。そのうち中学へ行くとくわしく習うと思うよ。ともかく,シダ植物というのは,大昔からある植物だということだけ覚えておいてほしいね。」
「大昔というのは,どのくらい前なの。」
「そうだね,スギナの仲間は,約3億年前ごろに大繁栄した植物なんだ。」
「3億年前! そのころの地球って,どんなだったの?」
「シダ植物が全盛でね,30mもあるスギナのお化けみたいのがあちこちに,にょきにょきと生えていたといわれているんだ。」
「ふーん。あんまり私たちには関係ないことのようですね。」
「そんなことないよ。スギナの祖先たちは,あちこちに森を作り,それが,長い年月をへて地中にうまり,長い間に変化して『石炭』になったんだよ。それで,今のエネルギー革命がおこったんだよ。」
「ふーん,なるほど。そして,絶滅した植物もあるけど,スギナは今も生き続けているというわけですね。」
「畑の雑草としてきらわれるスギナは,地面の中のあちこちに根やくきをはわせているんだ。だから,簡単には駆除できないさ。でもね,悪いことばかりではないよ。かつて原子爆弾が落とされた広島で,真っ先に緑を取りもどしたのもスギナなんだ。熱線を浴び,緑がもどるのに50年はかかるといわれた死の大地に芽を吹いたスギナは,多くの人々に勇気をあたえたのも事実なんだ。」
モンタ博士のツクシ料理簡単レシピ
レシピその1・・・ツクシのピリからいため
つくしのはかまを
取る。よく
洗う。
フライパンに
油を
入れて,そのまま入れる。
ちょっといため,しょうゆ・
酒・
七味とうがらしを
加え,ハイ! できあがり!
レシピその2・・・ツクシのたまごとじ
つくしのはかまを
取る。よく
洗う。
つくしをゆでる。
なべにしょうゆ・みりん・だしじるを
入れ,つくしを入れて
味をつける。
ときたまごを
上からかけてふたをして,ハイ! できあがり。
レシピその3・・・ツクシの天ぷら
つくしのはかまを
取る。よく
洗う。
生のまま
粉をつけ,2・3
本いっしょにあげて,ハイ! できあがり!