2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(49)なんでだろう? タンポポの不思議
「うーん,わかんない。どうしてかな。なぜだろう。私の目がおかしいのかな。」
「花ちゃん,どうしたの。何をそんなに悩んでいるの。考えているの。」
「あのね,私ね,不思議というか,わかんないんだけど。この前ね,タンポポの花がたくさん咲いていたでしょ。その後ね,綿毛になったでしょ。そこでね,疑問に思ったことがあるの。」
「だから,どうしたというの。」
「タンポポの花がさいていた時は,タンポポがとっても地面に近くにさいていたでしょ。ところが,綿毛になったら,何だか,タンポポの背が伸びたみたいなの。」
「何,何,今なんと言ったの。タンポポの背が伸びたことに気がついたのか。それはすばらしいね。すごい発見だよ。さらに,それが,どうしてなのか。♪何でだろう,何でだろう,何でだ,何でだろう♪と考えなやんだことはもっとすばらしいことなんだ。」
「だって,本当にそう思ったんだもん。」
「どこにでもあるタンポポ。幼稚園の子だってみんな知ってるタンポポ。ありふれた平凡なタンポポ。それをあたりまえと見てやめてしまうのではなく,よく目をこらしてじっくりと観察したね。花ちゃんもモンタ博士といっしょにいろいろなことをお勉強しているうちに,観察力がどんどんついてきたね。モンタ博士は,もうなみだが出るくらいうれしいな。」
と,突然,オー君がダッシュして校庭にある綿毛のタンポポをひっこぬいてきて一言。
「本当だ。この前,みんなで笛をふいたけど,その時とくらべると,たしかに少し背が伸びているな。♪何でだろう,何でだろう,何でだ,何でだろう♪」
「それはね,つまり上の絵を見れば分かるけど,まず,タンポポのAのつぼみからBのつぼみへと伸びるんだ。そして,さらに,くきを伸ばしてCの位置で花を咲かせるんだ。タンポポは2~3日,花を閉じたり開いたりするんだ。その後,花が終わると一度は地面にたおれるんだよ。それからが秘密なんだ。たおれたタンポポはくきを伸ばして,また起き上がってDの位置まで伸びるんだ。だから,背が伸びたように見えるんだよ。ところで,ここで大切なことなんだけど,どうしてそんなことをタンポポはするんだろうね。」
「きっと背を伸ばした方が,何か都合がいいんじゃないかな。」
「そのとおりだね。だんだんいいところに気がついてきたようだね。」
「花はなぜさくのかと言えば,人を喜ばせるためではないわ。子孫を増やすためよね。それと,何か関係がありそうですね。」
「そうか,分かったぞ。背を高くした方が,種をより遠くへ飛ばせるからだ。」
カントウタンポポ
セイヨウタンポポ
タンポポの綿毛高さチャンピオンを作るには・・・
タンポポの綿毛をより遠くへ飛ばすために,より高く花の茎を伸ばすことが必要である。長い花茎探しなどの活動を行う場合もあるが,ここで注意してほしいことは,花茎の長さは,周りの環境との関係からより高く伸びるということである。周りに背の高い雑草やへいがある場合には,必ず高くなるであろう。その反対に周りがよく刈り込まれている所などは,それほどの高さにはならない。また,背の高いタンポポの出現は,その地域の自然度とはまったく関係がないということを付記しておく。