トウショキッズ 東書KIDS

  • HOME
  • みなさまへ
  • 保護者の方へ
  • 先生へ
花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (4)被子植物ひししょくぶつ単子葉類たんしようるい)のなかま
(45)イネ植物しょくぶつもウォッチングしよう
写真
オーくん
「ねえ,(はな)ちゃん,()()て。あら()()()。お()()(なか)からケムシ(くん)登場(とうじょう)だ。反対(はんたい)にするとケムシ君のさよならでーす。」

花ちゃん
「うわー,おもしろい。(わたし)にもやり(かた)(おし)えて。あ,そうか,エノコログサを使(つか)うのね。なるほど,これはおもしろい。ちょっと()って,あれでもできるかな。」

 そして,しばらくすると,(はな)ちゃんはエノコログサのお()けのように(おお)きなものを()ってきたとさ・・・。
花ちゃん
「できる,できる。チカラシバのジャンボケムシでーす。」

オーくん
「なるほど,こいつはおもしろい。おいらもやってみよう。」

花ちゃん
「オー(くん)。エノコログサもチカラシバも,どっちともイネ()植物(しょくぶつ)ね。」

写真
オーくん
「え! イネ()植物(しょくぶつ)? そういうのもあるのか。おいら,()らなかったな。」

花ちゃん
「あのさ,(わたし)(おも)うんだけど,イネの仲間(なかま)植物(しょくぶつ)って,(あき)になるとたくさんの()をならせるのね。」

オーくん
「そうか,お(こめ)だってイネ()植物(しょくぶつ)だ。」

二人(ふたり)とも(なに)をお(はな)ししているのかな。モンタ博士(はかせ)(なか)()()れておくれ。」
モンタ博士

花ちゃん
(あき)になると,イネ()植物(しょくぶつ)があちこちにいっぱい()られるという(はなし)をしていたんです。」

「そのとおりだね。イネ()植物(しょくぶつ)関心(かんしん)()つということはすばらしいことだよ。」
モンタ博士

オーくん
「どうして,そんなにすばらしいのかな。」

「ふつう,きれいな(はな)というのは,どんな花かな。」
モンタ博士

花ちゃん
(いま)(いち)(ばん)きれいなお(はな)といえば,いろいろあるけど,やっぱりコスモスかな。ピンクの(いろ)がステキだわ。」

オーくん
「ノギクの仲間(なかま)もいっぱい()いているよ。」

「そうだろう。コスモスやノギクには(いろ)があるよね。ふつう,みんなはきれいな色の(はな)ばかりに()づいてしまうだろう。ところが,イネ()植物(しょくぶつ)って,目立(めだ)つ色なんてあんまりないだろう。」
モンタ博士

花ちゃん
「そういえば,エノコログサにしても,オヒシバ,メヒシバ,それから,ススキやジュズダマにしても(はな)目立(めだ)たないわ。」

写真
オーくん
「そうだね。イネの(はな)なんて,おいら()らないもんな。」

「そうだろう。だから,そういうイネ()植物(しょくぶつ)()がつくということは,すごいということなんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「どこにでもあるイネ()植物(しょくぶつ)もこれからは,よく()ることにします。」

オーくん
「そうしよう。それにしてもイネ()(はな)地味(じみ)だな。」

「モンタ博士(はかせ)(おも)うには,ほかの植物(しょくぶつ)にはない『(せん)(うつく)しさ』があるんじゃないだろうかね。それからイネ()はめしべはとってもきれいなんだ。今度(こんど)ルーペで()るといいよ。チゴザサのめしべはピンクがとてもきれいだよ。」
モンタ博士

写真
チゴザサ
イネはもともと熱帯(ねったい)植物(しょくぶつ)
 主食(しゅしょく)(こめ)にした日本(にほん)では,米の栽培(さいばい)歴史(れきし)悲惨(ひさん)飢饉(ききん)との(たたか)いの歴史でもあった。(いま)では品種(ひんしゅ)改良(かいりょう)(すす)み,(びょう)害虫(がいちゅう)への耐性(たいせい)獲得(かくとく)してきたが,冷害(れいがい)には(よわ)いところがある。それはなぜかといえば,植物(しょくぶつ)繁殖(はんしょく)するときに最も(もっとも)低温(ていおん)に弱いのがおしべであり,(とく)花粉(かふん)成熟(せいじゅく)する時期(じき)であることが()かってきたからだ。イネの結実(けつじつ)にはしょうがいが()きるのは()()10(とお)()(ぜん)()であり,この時期を穂ばらみ()という。穂ばらみ期に実験的(じっけんてき)4日間(よっかかん)だけ温度(おんど)を12()にしておくと,半分(はんぶん)以上(いじょう)花粉(かふん)異常(いじょう)になり,米は(みの)らないのである。米の品種改良が進んだとはいえ,もとは熱帯(ねったい)地域(ちいき)起源(きげん)する植物なのだ。なお,熱帯から北海道(ほっかいどう)まで(やく)7000(ねん)歳月(さいげつ)(よう)して伝播(でんぱ)したのであり,()野菜(やさい)でもそうであるが,イネ()の品種改良も先人(せんじん)(のこ)した歴史的(れきしてき)遺産(いさん)というべきものである。
   てくてく自然散歩シリーズ
このページの先頭へ