トウショキッズ 東書KIDS

  • HOME
  • みなさまへ
  • 保護者の方へ
  • 先生へ
花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (3)被子植物ひししょくぶつ双子葉類そうしようるい)のなかま
(39)オオイヌノフグリのひみつ②
花ちゃん
「ねえ,ねえ,この(まえ)のお(はなし)(つづ)きをしようよ。だって,(わたし),オオイヌノフグリのまたまた(あたら)しい名前(なまえ)(かんが)えちゃったんだもん。」

「ほほー。それは,感心(かんしん)だね。それで,(なん)という名前(なまえ)をつけたの。」
モンタ博士

花ちゃん
「オオイヌノフグリの(はな)って,(あお)でしょ。でも,そういう(いろ)(むかし)(ひと)は,瑠璃(るり)(いろ)といったそうなのよ。それで,つけた名前(なまえ)が『るり(いろ)小花(こばな)』どう? なかなかおしゃれでいい名前でしょ。」

オーくん
「ほんとうだ。ステキな名前(なまえ)だな。ぼくももっともっと地面(じめん)(かお)をくっつけるようにして,いろいろと観察(かんさつ)するぞ。あ! こんなのどうだ。」

花ちゃん
(あたら)しい()(まえ)(かんが)えたの。」

オーくん
発表(はっぴょう)します。(はな)をよく()ると,二本(にほん)(つの)があるみたいだから,青色(あおいろ)(つの)だし(ばな)なんてどうかな。」

「けっこう。けっこうだね。(はな)勝手(かって)名前(なまえ)をつけてはいけないなんてきまりはないからね。どんどん(かんが)えてごらん。これも草花(くさばな)仲良(なかよ)くなる(ひと)つの(ほう)(ほう)だね。(たの)しみながらやるんだよ。そうすると観察力(かんさつりょく)ももっともっとついてくるよ。」
モンタ博士

オーくん
「あれ? (へん)だぞ。(たし)かに変だぞ。どうしてかな???」

花ちゃん
「どうしたの。オー(くん)(なに)(へん)なの。(おし)えて。」

「また,(なに)かを発見(はっけん)したみたいだね。それで,どうしたの。」
モンタ博士

オーくん
「あのさ,この(まえ),お(ひる)(やす)みにみんなでドッジボールをした(あと)にさ,オオイヌノフグリを()つけたよね。その(とき)(はな)ちゃんがお花をつんで教室(きょうしつ)()ってきたよね。」

花ちゃん
(おぼ)えているわ。それが(なに)かいけなかったのかしら。」

「いいよ,いいよ。それでいいんだよ。(はな)()ると,すぐに自然(しぜん)破壊(はかい)だなんていう(ひと)がいるけど,モンタ博士(はかせ)は,どうかなと(おも)うんだ。実際(じっさい)自分(じぶん)()でとってみて,しっかりと観察(かんさつ)することが大切(たいせつ)なんだ。たくさん()いている花なら,採ってもつみにはならないね。むしろ,そのほうがずっといいことだと思うな。自然を()らないで,(なん)でもかんでも,自然を(まも)れというのは,どうかと思うね。校庭(こうてい)にある花はいくらとってもいいと思うよ。ところで,何だっけかな。(なに)(へん)なの。オー(くん)。」
モンタ博士

オーくん
「この(まえ)(はな)ちゃんが教室(きょうしつ)()って()(とき)に,ポロンと花びらがとれたと()っていたよね。」

「そうだね。オオイヌノフグリの(はな)は,(よっ)つの花びらに()かれているようだけど,本当(ほんとう)は,花びらの(した)(ほう)が,くっついているんだね。こういうのを合弁(ごうべん)()というんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
合弁(ごうべん)()というのは,ツツジやアサガオみたいなものでしょ。それから,()(べん)()というのは,サクラやアブラナみたいな(はな)でしょ。」

オーくん
合弁(ごうべん)(はな)とか,()(べん)()とかいうことじゃないのさ。ポロンと(はな)びらがみんないっしょに()ちたということは,もちろん花びらがもとの(ほう)でくっついているからだよね。だから,オオイヌノフグリは合弁花なんだろう。でも,ぼくの()いたいことは,そんなことじゃないんだよ。つまり・・・。」

花ちゃん
「つまり,(なん)なのよ。(はや)()ってちょうだい。」

オーくん
「つまりね,ぼくが()た,いや,ぼくがさわっても,(はな)びらがぜんぜんポロンと()ちないんだよ。」

「な,な,(なん)と!!! オー(くん)はすごいことに()がついたんだね。すごい!!!」
モンタ博士

花ちゃん
(なに)がそんなにすごいんですか。モンタ博士(はかせ)。」

「よくぞ()いてくれたね。オー(くん)はオオイヌノフグリを本当(ほんとう)によく観察(かんさつ)したね。()()ただけでなく,自分(じぶん)でも(はな)びらにふれたところがすごいね。()でふれてもみることは,やっぱり大切(たいせつ)なんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「だから,どういうことなんですか。」

オーくん
「ぼくが()でふれたときには,ポロンと()ちないで,(はな)ちゃんのときだけどうしてポロンと落ちたの。」

「それは,つまり,時間(じかん)だよ。(はな)にふれた時刻(じこく)問題(もんだい)なんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「ますます()かんない。なんだか推理(すいり)小説(しょうせつ)みたいだわ。」

「たぶん,オー(くん)がオオイヌノフグリの(はな)びらにさわった時間(じかん)は,午前中(ごぜんちゅう)だろう。それも,だいぶ(あさ)(はや)い時間じゃないかな。そして,(はな)ちゃんが()にふれた時間,いや時刻(じこく)午後(ごご)だったと推理(すいり)できるね。ここにこの不思議(ふしぎ)さをとくカギがあるんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「そうだ。ぼく,学校(がっこう)()て,すぐにオオイヌノフグリを()()ったよ。」

花ちゃん
(あさ)午後(ごご)? これが(なに)関係(かんけい)あるの。」

「つまりね,オオイヌノフグリという(はな)は,(はじ)めは花を()じたままなんだよ。朝日(あさひ)()けて花びらを(ひら)くのさ。それから,(くも)ったりすると,すぐに花を閉じてしまう特徴(とくちょう)があるんだ。そうしているうちにおしべの花粉(かふん)がめしべの柱頭(ちゅうとう)についてしまうんだね。これを受粉(じゅふん)というんだ。理科(りか)勉強(べんきょう)したでしょ。」
モンタ博士

花ちゃん
(わたし)(おぼ)えているわ。(むし)たちがやってきて受粉(じゅふん)することもあるんでしょ。」

「そうだね。(むし)たちも活躍(かつやく)してくれるね。でもね。オオイヌノフグリというやつは,夕方(ゆうがた)になってお()(さま)(しず)むころになると,(はな)びらが()じてしまい,虫たちの(ちから)をかりなくても自然(しぜん)受粉(じゅふん)してしまうのさ。こういうのを自家(じか)受粉(じゅふん)というのさ。そこで,そこでだ。問題(もんだい)であるポロンなんだけど。」
モンタ博士

オーくん
「そうだ。ポロンが問題(もんだい)だったんだ。どうして,ポロンとなるの。」

「それはね,受粉(じゅふん)がすんでいれば,もう(むし)()てもらわなくてもいいから,それで,ポロンと(はな)びらが()ちてしまうのさ。」
モンタ博士

花ちゃん
「ということはですね,ということは,ポロンと()ちた(はな)というのは,もう(じゅ)(ふん)()わった花ということですね。」

オーくん
「ふーん。それじゃ,いろいろと(ゆび)でさわって(たし)かめてみようよ。(はな)ちゃん。」

「そうだね。(あそ)びながらやってごらんよ。遊びながら(じっ)(けん)してもいいね。(たと)えば,()(かん)()めて,1時間ごとに100()くらいずつさわりまくってさ,それを(ひょう)にまとめたり,グラフにしたら,こりゃ,遊びじゃなくて,りっぱな自由(じゆう)研究(けんきゅう)になると(おも)うね。」
モンタ博士

花ちゃん
(なん)だかおもしろそうですね。ただ()ているだけでは()からないことでも,いろいろとさわったり,においをかいだり,(あじ)をみたりして(かんが)えていくと,本当(ほんとう)にいろいろなことが発見(はっけん)できるわね。」

「これは,植物(しょくぶつ)世界(せかい)(はなし)だけではないね,(ひろ)生物(せいぶつ)の世界全体(ぜんたい)でも()えることだね。」
モンタ博士

   てくてく自然散歩シリーズ
このページの先頭へ