2.植物の世界
(1)花のつくりとはたらき
(30)ネジバナの花(右巻き・左巻き・・・さあ,どっち?)
ネジバナ(ラン科)
「ねー。オー君。きれいなお花でしょう。ネジバナっていうのよ。」
「何! ネジリパンがどうしたの。」
「ネジリパンではありません。ネジバナです。ピンクと白の色のまざった小さなお花がねじれてさいているでしょう。ラン科の花でカトレアと同じ仲間の植物なの。きれいでしょう。」
「何! 名探偵コナンに出てくるランちゃんがカトリセンコウでどうした?」
「ランちゃんではなくて,ラン科。カトリセンコウではなくて,カトレアよ。」
「なーるほど。どれどれ,ぼくにもよーく見せておくれよ。ふむふむ,ちいせえ花だな。でもきれいだな。」
「私はこのネジバナが大好きなんだ。何と言っても色がすてきよね。オー君もそう思うでしょう。ね。」
「うん・・・。あれ? へんだぞ。」
「何がへんなの。どうかしたの。」
「おかしいんだ。へんなんだ。どのネジバナも同じねじれ方をしているのかな,と思って見ていたら・・・ほら。右まきと,左まきの両方あるよ。」
「ほんとだ。ねじれ方がちがうんだ。オー君,よく気がついたわね。すごい!」
「じっくりと,しっかりと,ゆっくりと,ながめていると,いろいろなことに気がつくもんだね。でも,ネジバナって,右まきと左まきとどっちが多いかな。」
「そうだ。オー君。たくさんとって調べてみましょう。右まきが何本か。左まきが何本かをグラフや表にしてみましょう。」
「OK。楽しそうだ。やってみよう。」
「ふむふむ。なるほど。二人とも科学的に見ることになれてきたみたいだね。自分で見たことや調べたことを数字で表したり,ひかくするというのは,りっぱな科学的な方法だね。感心だね。100本くらい使って調べるといいよ。」
「え! ひゃ,ひゃ,100本! 何で100本も調べたほうがいいの。」
「それはね,10本くらいでは,たまたまどちらかにかたよることがあるからさ。」
「右まきと左まきとどっちが多いんですか。モンタ博士は調べたことがあるんですか。」
「うん。20年も前に同じようにふしぎに思って調べてみたのさ。答えはね,半分,半分くらいで,どちらも同じくらいだったね。でもね,もう一度二人でやってみることもおもしろいと思うよ。自分でやってみた実験ならなっとくがいくしね。」
「やってみます。ねー,オー君。ところで,ネジバナはどうしてねじれているの。」
「えっ! ネジバナだからねじれているのさ。いやちがう。ねじれているからネジバナなのさ。あれ? わかんなくなっちゃった。こまったな。」
「ある本によるとね,花の集まりが右または左にまくが,これは一列にさくと,花が重なってしまって,下の花がじゃまになるからだそうだよ。」
ネジバナ讃歌・・・
ラン科植物は,植物全体から見ると,最も進化したものである。ネジバナの花の形はカトレアとまったく同じであるが,やや花の大きさがちょっと小さめなのが残念。酸性の土壌を好み,芝生の中などにもよく生えて丈夫である。ラン科の植物は森の中か湿地に生えるものが多いが,本種だけは,なぜか乾きやすいところにも生育できる。また,ネジバナはラン科にしては珍しく栽培が簡単である。