1.身近な自然の観察
(4)生物と日本人のかかわり
2.植物の世界
(10)あら、不思議?植物マジックの世界
(23)楽しい植物マジック ①カタバミで10円玉みがきをしよう
「あれ,モンタ博士だ。あそこで何かやっているみたいだな。何してるのかな。」
「モンタ博士! さっきから何をしているんですか。葉っぱで何をしているの。」
「あのね,葉っぱを使って実験しているんだよ。実験というよりも,植物マジックと言ったほうがいいかな。」
「えっ! 植物マジックというのは,もしかして手品のことなの。」
「えっ! 手品? 植物でどんな手品ができるの。おもしろそうだわ。私たちにも教えてほしいな。」
「植物を使った手品といってもいろいろあるけどね。それじゃ,今日は,スイバという草を使っての手品にしようかな。」
スイバ(タデ科)
「スイバ? 何それ,植物の名前なの。」
「そのとおりだよ。スイバというのはね,別名をスカンポともいうけどね。お父さんやお母さん,それから,おじいちゃんやおばあちゃんたちは,小さいころ, この葉をとっては,しゃぶったことがあるかもしれないね。」
「私の持っている植物図鑑で調べると,タデ科ということになっていますね。」
「何だよ。そのタデ科というのは・・・。」
「タデ科というのは,かんたんに言えば,タデという草の仲間ということかしら。何だかうまく説明できないわ。モンタ博士,どうしよう。」
「〇〇科の,科(か)というのは,むずかしく言えば言えるけど・・・その仲間ということでいいんじゃないかな。例えば,キクの仲間をキク科,バラの仲間をバラ科,マメの仲間をマメ科というようにね。まあ,あわてることはないよ。そのうち,もっとくわしく教えてあげるよ。ところで,お話はどこまでいったっけ。」
「たしか,スイバという草でマジック,手品ができるということでしたよね。」
「そうだ,そうだ。思い出したよ。ところで,今日は,二人とも10円玉を持っているかな。」
「えっ! 10円玉がいるの。10円玉をどうするの。」
「まあ,見ててごらん。ここに取り出しましたのは,ただの10円玉,10個集まれば,100円になって,100個集まれば,1000円になるね。」
「モンタ博士,何だか算数をやっているみたいですね。マジックはどうしたの。」
「ああ,ごめん。ここにあるただの10円玉をよく見てごらん。何だかとってもよごれている感じでしょ。それを,エイ! ヤー! とモンタ博士が一声かけて,ゴシゴシこすると,さあ,何と不思議なことでしょう。」
「ぎょ! あれ! 何だ,どうして,どうして,どうしてなんだ。」
「本当だ。きれいになっている。ピカピカになっている。不思議だわ。」
「な,な,何でそうなるの?」
「スイバという草はすっぱいんだ。酸というものが含まれていて,その酸というやつの力でよごれが落ちるのさ。ほかにも,カタバミやイタドリやその他,いろいろな草花でできるよ。いろいろとやってごらんよ。楽しいぞ。」
カタバミ(カタバミ科)
「オー君,スイバやカタバミ,それにイタドリを見つけてやってみようよ。いろいろな草で実験してみよう。楽しそうだわ。」
「6年生になると,理科の授業で酸性とアルカリ性とか勉強するからね。その時にまたくわしくお話ししてあげよう。今日は,いろいろな葉っぱで実験してみようね。」
スイバ・カタバミと酸・・・
葉や茎に体液にシュウ酸というものが含まれており,それで,名前がスイバ(酸っぱい葉)になったとか。酸が汚れを落とすのは有名で,トイレの洗剤「サンポール」のサンは多分,酸ということかもね。
スイバはフランスをはじめ欧米では盛んに栽培して,ホウレンソウと同様に調理するそうだ。また,道端によく見られる草でカタバミ(帰化植物のイモカタバミやムラサキカタバミなどもある)なども10円玉がみごとにきれいになる。なお,カタバミの花言葉は「輝く心」だそうだ。
これとは逆に,アルカリ性の体液を含むものもあり,メロン,キュウリ,マクワウリなどはその良き例である。