3.動物の世界
(2)動物の体のつくりとはたらき
(14)動物の冬眠と予知能力
「おー,寒いな,花ちゃん。」
「そうね,今は大寒といって,1年でいちばん寒い季節なんでしょ。」
「ぼくは,この前,学校に来るときに氷を見つけたんだ。そしたらね,氷の厚さが2センチもあったよ。」
「教室に置いたけど,1日ではとけなかったわね。こんなに寒くなってしまって,虫たちも全く姿を見せないわね。どこにいるのかしら。」
「そんなの決まっているよ。土の中だよ。コガネムシの幼虫などは,温かい土の中さ,それに,オサムシなどは,成虫のまま冬を越すからね。これも土の中さ。そうだよね。モンタ博士。」
「そうだね。オサムシなどは土の中だね。がけみたいなところを切りくずして土をほって,オサムシをとることを,昆虫仲間では「オサほり」というのさ。」
「なんだか,そのオサほりというのは楽しそうだな。今度教えてね。」
「OKだよ。ところで,寒い冬を越すのは,昆虫の仲間だけじゃないよ。ほかにもいろいろな動物がやっているよ。さて,どんな動物が冬眠するかな。」
「えーと,ぼくは寒いから春まで冬眠したいけど,そりゃ,だめだね。」
「そうさ,子どもは風の子,元気に外で遊ばなくてはいけないよ。」
「えーと,熊みたいなほにゅう類も冬眠するし,カエルやヘビなどの両生類やはちゅう類も冬眠すると思うわ。」
「そのとおりだね。ほにゅう類や鳥類のように体の表面に体毛や脂肪を持っていて,体温調節ができる生き物たちにとっては寒さはなんとかなっても,変温動物のカエルやヘビにとっては,寒さを乗りきることはたいへんなんだ。」
「恐竜が絶滅したのも地球が寒くなってきて,寒さに勝てなかったからでしょ。私,何かの本で読んだことがあるもん。」
「よく知ってるね。それじゃ,どうしてカエルやヘビなどは土の中で冬眠するんだろう。わかるかな。」
「そんなの決まってるじゃん。土の中の方があったかいからだよ。」
「あたたかくていいんなら,ねこみたいにこたつの中の方がいいんじゃないの。」
「こたつの中で冬眠するカエルやヘビなんて聞いたことないわ。たぶん,カエルやヘビは変温動物で体温の調節ができないから,なるべく寒くなったり暑くなったりしない方がいいのではないかしら。」
「大切なことは,温度の変化の少ないところを選んで冬眠するということなのさ。だから,土の中は最高にいいところというわけなのさ。」
「モンタ博士に質問だけど,暖冬(ひかく的にあたたかい冬)ととても寒い冬では,土の中にもぐっているといってもちがいがあるのかな。」
「さすがは,オー君だね。いいところに気がついたね。カエルが冬眠するのは当たり前だけど,それで終わっちゃだめなんだよね。ある農家の人が,こう言ったそうだ。『今年はカエルやヘビの冬眠する場所が深いからよお。こんな冬は寒さがきびしいぞおっ』とね。」
「なるほど,自然と生き物とはうまくできているんですね。」
「実際に調べた人がいるんだけど,暖冬の年には80センチ,厳冬(寒さのきびしい冬)の年には120センチのところからトカゲが出てきたそうだよ。二人ともおもしろそうだから,やってみたらいいよ。何年も続けてやってみたら,ものすごくすばらしい研究になると思うよ。」
「カマキリがたまごを産む場所も雪の深さを感じとっているんでしょ。」
「そのとおり。生き物たちにはすばらしい能力があるんだね。おどろきだね。」
動物たちの予知能力
人類の英知が文明を発達させ,人々の生活を豊かにしてきたように感じられる。しかし,それでも自然界には未知なるものがたくさん存在するのだ。動物の予知能力のすばらしさにはまだまだかなわないのが現状ではないだろうか。自然にリズムに,もっと謙虚になれ!