2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(4)被子植物(単子葉類)のなかま
(13)ネギの葉っぱってどっちが表?
(ネギの根と茎と葉)
「この前,オー君が,ネギの葉っぱはどこなのかなという質問をしていたでしょ。私も考えてみたけど,どうもよく分からないわ。」
「ぼくも考えていたけど,おなかがすいておうちに帰ったら,な,な,なんと,晩ご飯は,ぼくの大好きなすき焼きだったんだよね。」
「何,何,すき焼き! モンタ博士も大好きでね。長ネギがまたうまいんだよね。熱の加えられたネギはあま味をかもし出し,独特な味わいとなるんだよね。それから,味わいや風味だけじゃなくて,ネギは肉のくさみもとるんだ。さらに,ちょいとむずかしい話になるけど,ネギはタンパク質の分解をうながして,吸収を助けるんだよね。あー! すき焼き食べたい,食べたい。」
「モンタ博士,こまっちゃうな。今日は,すき焼きの話ではなく,ネギを植物として見ようということです。いっしょに考えてください。」
「ごめん,ごめん。それじゃ,問題だ。植物は何と何と何からできていますか。」
「それは,もちろん。えーと,根とくきと葉っぱです。3年生の理科でお勉強したわ。」
「そのとおりだね。それじゃ,ネギの根とくきと葉っぱを考えてみよう。この場合,まず長ネギのことから考えよう。ネギをスーパーなどで買うときに,『土つきネギ』というのを見たことあるかな。」
「この前,買ったのは土がついていて,きれいにあらってないネギだったよ。」
「そのネギ,まだおうちにあるかな。オー君。」
「ぼく,ラーメンを作ったときに切って食べただけだから,まだあると思うよ。」
「それじゃ,悪いけど,そのネギを一本持ってきてくれないかな。」
オー君はすなおな良い子なので,おうちにすっとんで行って,すぐ持ってきたとさ・・・。
「一番下を見てごらん。根っこが出ているじゃないか。」
「ほんとだ。今まであまり気がつかなかったわ。どう見ても,これは根っこですね。それじゃ,くきと葉っぱはどこにあるのかしら。」
「緑色をしたところが葉っぱじゃないのかな。」
「それじゃ,それ以外は全部がくきというわけかな。よく見てごらん。」
「モンタ博士,根っこが出ているところのすぐ上に,とてもかたいところがありますよ。」
「そこがくきなのさ。ネギの場合,くきがとても短いんだよ。オー君がラーメンを作ったときに,かたいから切ってすててしまったところが本当はくきなんだよ。」
「玉ネギでも同じだよ。玉ネギの下のところには,とてもかたいところがあるよ。」
「ということは,私たちが食べているところは全部葉っぱということですね。でも,何でネギの葉っぱってまるくなっているのかな。また分からなくなったわ。」
「それはね,説明がむずかしくなるけどね,二人とも手を出してジャンケンのパーを出してごらん。それを葉っぱとするよ。手のこうが葉のうらで,手のひらが葉の表だね。そのパ―の小指と親指をくっつけるようにして,両手を合わせてごらん。ネギみたいにならないかな。」
「そうか,何十人も手を合わせたようにしたらネギみたいになるんだ。」
「そうだね。要するにネギは葉っぱが葉っぱを包んでいるんだよ。」
「ちょっと待ってください。さっき,モンタ博士は手のこうが葉っぱのうらといったでしょ。ということは,私たちがふつう見ているネギは全部が葉っぱのうらということですか。」
「そのとおりだよ。アヤメやショウブ,それにカキツバタも見えている葉は全部がうらの葉っぱということなんだよ。」
ネギの花は晩春にさく
いわゆる「ねぎ坊主」と呼ばれるものがネギの花である。一つの花はとても小さく3枚の花びらと3つのおしべなどがあり,3数性の花でユリ科。この花はおもしろいことをする。晩春に観察すると分かるが,ねぎ坊主の頭の部分がまず花を咲かせるが,この時はおしべが熟すだけである。次にだんだんと下の花が咲きはじめる。そして,おしべが終わったころから,次に,頭部のめしべが熟するのである。このようにして同花での受粉をさけているのである。ところで,関西の人はネギの緑色の部分もよく食べる。これは関東とはネギの種類が違うからであるといわれている。関東のものは白ネギ(根深ネギ)といい,関西のものは白い部分が短い,葉ネギというもので,緑色した部分も柔らかく,食用になる。