【事例12】ネット上の誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)

■ネット上の誹謗中傷とは?

 誹謗中傷とは「あることで他の人の悪口を言ったり,根拠(こんきょ)のない悪口を言ったりすること」です。電子掲示板(でんしけいじばん)やブログというインターネットのサイトでは,だれもが自由に意見を述べることができます。同じ趣味の人から意見や感想をもらえたり,質問に答えてもらうこともできます。しかし,文字だけの会話は気持ちを伝えることが難しいのでよくケンカがおこります。また,関係のない人まで悪口を言ってくることもあります。ひどい言葉を書かれた人はとてもショックで気持ちが落ちこんでしまいます。

■問題事例

 A君はブログを開設(かいせつ)し,毎日,日記に自分が考えたことを書いていました。ある時,人気アイドル歌手○○について個人的に思っていることを書いたところ,そのアイドル歌手のファンと思われる数人の人から,A君の悪口を書いたコメントがトラックバックされました(トラックバックとは,ブログの記事に他の人がリンクを作成する機能(きのう)のことです)。
 A君「アイドル歌手○○ことを悪く書いたつもりはないけど,誤解(ごかい)されるようなところはあったかもしれない。でも,説明(せつめい)したら,わかってくれるだろう。」
 A君はていねいな言葉で,悪口のコメントへの返事をブログに書きました。しかし,それに対して,多数の人から悪口を書かれてしまいました。A君は,何度も説明をしましたが,そのたびに悪口を書かれ,また,悪口を書く人も増えていきました。
 A君は,ショックを受け,ブログをやめてしまいました。

■問題への対応

 開設していたブログを閉鎖(へいさ)したり,トラックバックを削除(さくじょ)しても,悪口を書いた文章は相手のブログに残ったままになります。その文章は誰もが読むことができる状態(じょうたい)になり,また,検索(けんさく)サイトなどに記録(きろく)されることもあります。
 誹謗中傷された文章を保存(ほぞん)し,ブログが公開されているサーバーのプロバイダーに削除を要求したり,警察の生活安全課などに相談したりすると良いでしょう。可能ならば,誹謗中傷の記事の保存は知人にも協力してもらい,悪口を書かれた事実があったことを証言してもらえるようにしましょう。さらに,発信者(はっしんしゃ)開示(かいじ)などについては,総務省電気通信(そうむしょうでんきつうしん)サービスに関する相談窓口で相談すると良いでしょう。

(1)最初に証拠(しょうこ)を残す。
 ブログの画面や受け取ったメールを自分のパソコンに保存したり,紙に印刷しておく。
 可能なら,友達や親戚(しんせき)の人にも協力を求め,同様の形で保存しておいてもらう。
(2)自分の判断(はんだん)で行動せずに,親や先生に相談しながら,行動する。
(3)プロバイダーへの削除依頼(さくじょいらい)を親にしてもらう。
(4)ひどく気持ちが傷ついたときは,人権擁護局(じんけんようごきょく)の「子どもの人権110番」(0570−070−110)に電話をして,相談する。
(5)あまりにもひどい場合は,警察に相談をする。(参考:都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧(はんざいそうだんまどぐちとういちらん) http://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm)

■明日への対策

  • ブログの運用をするときは,家の人といっしょにしましょう。
  • ブログに書く文章は,誤解を受ける可能性がないかどうかをよく確認してから掲載(けいさい)するようにしましょう。
<参考になるサイト>
情報セキュリティー広場 (警視庁(けいしちょう)ハイテク犯罪対策総合(はんざいたいさくそうごう)センター)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/haiteku/haiteku1.htm
人権擁護局(じんけんようごきょく)
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index.html
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