NO.98

霜のお話

「花ちゃん、このごろ、とっても寒くなったね。」
「本当ね。でも、昼間はあったかいわ。小春日和(こはるびより)って、言うらしいわ。あれ? 向こうからモンタ博士が来るわ。ニコニコとうれしそうな顔をしているわ。何かいいことがあったのかしら。」
「うれしいなー。うれしいなー。」
「モンタ博士、何がそんなにうれしいの。」
「あのね、きのうね、3年生の男の子が、霜(しも)のついた葉っぱをね、だいじそうに、職員室(しょくいんしつ)まで持ってきて見せてくれたんだよ。」
「あ! 児童玄関(げんかん)の『みんなで見つけよう!』のところにも霜の写真があったわ。」
「その3年生は、霜の写真を見て持ってきてくれたのか、それとも、自分で発見したうれしさを伝えるために来てくれたのかな。どっちでもいいけど、そうやって、自然のいろいろなようすに気づくことは、とてもすばらしいね。」
「そうだね。おいらも、自然のいろいろなようすをしっかりと見つめようっと。ところでさ、霜(しも)ってどうしてできるんだ。」
「えっへん! 花ちゃんは、お天気お姉さんとも言われているんですからね。お天気や気象についてなら、何でも知ってる物知り博士なのよ。」
「ほほー。それはすごいね。それじゃ、よろしくたのむね。ところで、花ちゃん。霜がなぜおりるのかを分かりやすくお話ししてほしいな。」
「えっへん。まず、コップに冷たいお水と氷を入れると、まわりに水滴(すいてき)がつくでしょ。これは、空気中の水蒸気(すいじょうき)がひやされてなったのよ。このコップについた水滴は、霜や露(つゆ)と同じなのよ。」
「露(つゆ)……。どっかで聞いたことあるな。」
「夏の朝早く、野原を歩いてぬれたことがあるでしょ。夜になって、地面がひえこむと、まわりの空気もひえこむわ。この時、空気中の水蒸気が水滴になるのね。これが露(つゆ)ね。」
「ふーん。それと、冬の朝の霜とどんな関係があるの。」
「空気の温度が、0度以下に急に下がると、水滴にならずに氷(こおり)の結晶(けっしょう)になり、葉っぱや地面につくのよ。これが霜(しも)ね。」
「露(つゆ)がこおったものではないんだ。」
「うーん。そうだな。一つ一つ調べたのかな。」
「そうね。水蒸気がこおりついたものなのね。だから、写真にあるように、とってもきれいなのよ。」
「ふーん。そうなんだ。さすが、花ちゃんはお天気姉さんだね。ところで、霜(しも)のついでに霜柱(しもばしら)についてもお話ししてよ。」

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン)より その1

「もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対するかわらぬ解毒剤になるのです。」注意・・・(センス・オブ・ワンダーについて、著作権の問題がある場合はカットしても結構です)


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