NO.94

アサギマダラ

アサギマダラ(マダラチョウ科)
「うわあー、きれいなチョウね。」
「大きくて、きれいで、りっぱなチョウだ。名前はアサギマダラというのさ。」
「アサギマダラ? 初めて聞く名前のチョウね。」
「アサギとはわかいネギという意味で、緑がかった青色なんだ。夏の間は、高原などにいて、今ごろになると、低い山におりてくるんだ。学校の近くのあちこちで飛んでいるよ。」
「へえー! こんなチョウが飛んでいたら、きっとステキでしょうね。」
「そうさ、ゆっくりと流れるように飛ぶんだ。暗い林でも、このチョウが飛んでいると、あたり一面が明るくかがやくように見えるから不思議だね。」
「え? いま、オー君、なんて言ったの。ゆっくり飛ぶって言った?」
「うん、そうだよ。このチョウは、ちょうゆっくりと飛ぶんだ。」
「それって、おかしくないの。ゆっくり飛んでいたら、鳥に食べられちゃうわ。」
「それが、そうじゃないんだな。アサギマダラというチョウは、たいへんよく目立ち、飛び方もゆるやかなのさ。そうすると、てきにおそわれたりしないのかというと、それとはぎゃくで自分から目立とうとしているんだ。」
「自分から目立つの?」
「それはね、アサギマダラは、幼虫(ようちゅう)の時に食べた植物(キジョランという葉っぱ)にふくまれているまずい物質を成虫になってからも体の中に残しているからなんだ。鳥がつかまえて、食べようものならはき出してしまい、次には食べようとしないのさ。」
「なーるほど。そういうことだったのね。」
「テントウムシのあの美しい色ともようも、自分がまずい虫だと知らせるはたらきをしているんだよ。あ! モンタ博士だ。ぼくの言うとおりですよね。」
「そうだね。よく調べてあるね。アサギマダラは幼虫やさなぎも目立つのさ。それにしてもオー君はよく研究しているね。モンタ博士も葉っぱを食べたあとのことや、さなぎのこと、それから、アサギマダラは、鳥のように何千キロもわたりをすることもお話ししたかったけど、まただね。ともかく、動物の体の色やもようは、てきから身を守るのに、大きな役わりをはたしているということさ。そればかりか、えものを取るのに役立っている場合もあるよ。動物の体の色やもようは、生きていくための、自然のしくみの一つなのさ。」
丸いのは幼虫が食べたあと
ふつうとちがってたれさがるさなぎ

ミゾソバに「ズームイン!」

ミゾソバはピンク色のこんぺい糖のようなかわいらしい花を咲かせているが、ズームインすると、小さな花が10〜20個集まって一つの花のように見せている。ところが、さらにズームインしてよく見ると、集まった花のうち、咲いているのはほんの数個にすぎない。要するに、花を順番に咲かせて、長い期間、花が咲き続けているようにしているのである。ところが、数個の花では目立たないから虫を呼ぶことができない。そこで、咲き終わった花も、咲いているかのように美しいピンク色をして目立つようにしているのである。一つの花をズームインして、アップで撮影したものをご覧ください。


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