NO.90

ツリフネソウのつぶやき

「あれ? 花ちゃん、そのお花、どうしたの。」
「いいでしょ。きれいでしょ。お休みの三日間、ずうっと雨だったけど、きのう午後から雨がやんだでしょ。それで、おうちの人と学校うらの湿地(しっち)に行ってとってきたのよ。」
「へえー、すごいな。見せて見せて!。」
「5年生のお米も、もうすぐイネかりするころだけど、体育館のうらの湿地(しっち)には、いろいろなお花がいっぱいさいているのよ。それはそれはすばらしいの。」
「へえー、おいらも行ってみようかな。ところで、そのお花なんていうの。」
「よく聞いてくれました。このお花は『ツリフネソウ』といいます。」
「え? 船(ふね)をつるの?」
「花の形を船に見立てて、長い柄(え)の先につり下がっているみたいだから、釣り船草(ツリフネソウ)というのよ。」
「へえー、うまく名前をつけたもんだね。」
「そうね、ぴったりの名前ね。」
「ところでさ、この花、どこかで見た花ににているよ。」
「え? 何というお花?」
「そうだ。ホウセンカだ。花がぶら下がっているだろう。それに、みずみずしいくき、やわらかそうな葉っぱ。やっぱりホウセンカの仲間だ。」
「そのとおりだね。植物といってもいろいろあるけど、どこかにているところがあるさ。そういう仲間を科(か)というのさ。ところで、ホウセンカの仲間って、実が熟(じゅく)すと、パチンとはじけるのか、知ってる。」
「そうか、パチンとはじけるのか。おもしろそうだ。さあ! 行けー!」
「待ってー! 私も行くー!」
「体育館のうらは草がたくさんしげっているから、気をつけて行くんだよ。」

ツリフネソウのつぶやき

花屋さんに並ぶ外国の色とりどりの美しい花に見慣れると、日本の野草はどこか地味でさびしい感じもするらしいけど、私は別格よ。まず、花の形がおもしろいでしょ。それに、花の後ろがくるりと巻き上がっているのもおしゃれでしょ。そのくるりとした中には蜜がたくさんあるの。それで、ハナバチくんたちが私のところにしょっちゅう遊びにくるのね。ところで、私やホウセンカは実が熟すと、パチンと割れるのよ。種子が自動散布するのね。私たちの属の名前を学名でインパチェンスというの。これは英語のimpatientと同じで気短の意なの。さわったとたんに実がはじけるからかしらね。仲間には私と同じ姿で黄色い花を咲かせるキツリフネというお友達がいるの。その学名はImpatiens noli-tangere (インパチェンス・ノリタンゲレ)というの。noli-tangereは我にさわるなの意味のラテン語よ。「さわっちゃいや。おこるわよ。」という意味かしら。


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