NO.84

キュウリはキウリなのだ

「な、な、何だ? こりゃ?」
「私も初めて見るわ。何でしょう?」
「これは、みんながよく食べているものだよ。」
「ヘチマかな……。いや、ちがうみたいね。」
「あ! おいら分かった。キュウリのおばけだ。」
「ピンポーン、そのとおり。キュウリだね。大きくなりすぎて、ヘチマみたいだね。」
「でも、モンタ博士。ふつうのキュウリとちょっとちがう感じがしますが。」
「そうね。いつもおうちで食べているキュウリはもっと緑色をしているわ。このキュウリは、何だか黄色っぽいですね。」
「そうだね。キュウリは、本当は、『キュウリ』ではなく、『キウリ』つまり『黄色いウリ』ということなんだ。みんなが食べるキュウリは、まだ成熟(せいじゅく)していないウリなのさ。」
「そうか、キウリ、キウリと言っていると、キュウリと言っちゃうね。」
「『十本』はじゅっぽんではなく、正しくは、『じっぽん』というだろう。それと同じさ。十は『じゅう』ではなく、『じふ』と発音していたんだ。だから、      『じっぽん』なのさ。『じふ』は発音しにくいので、そのうち、『じゅう』と発音するようになったけど、『十本』を『じっぽん』とする読み方だけが残ったと、ある本に書いてあったよ。」
「ふーん。何だかむずかしいお話になったな。ともかく、キュウリは、もともとは、黄色いウリということなんですね。でも、ちょいと待って! なぜ、黄色いウリを食べないで、緑色のキュウリを食べるようになったの。」
「むかしはね、この黄色いウリを食べていたのさ。ところが、メロンの仲間など、キュウリよりもうまいウリができてきたんだ。そこで、成熟していないウリを食べたら、みずみずしくて、おいしいということになったさの。それが、今のキュウリの始まりなのさ。」

おちこぼれのキュウリのつぶやき 

おいらはキュウリだ。曲がりくねってしまって、すんなりとスマートでもない、イケメンキュウリとは言えない。ところがどっこい、味はそんなに悪くないのさ。おいらを見て、見てくれが悪いとか、箱詰めしづらいとか、そんなに落ちこぼれにしないでほしいね。最近じゃ、曲がったキュウリを作らないために、オモリをつけたり、丸い筒に入れるらしいからね。でも、よく考えてほしい。キュウリだって生き物だ。同じ環境にいても同じものができないというのが生き物の世界のおもしろさだし、すばらしさだ。そんじょそこらの工業製品のように同じものを求めないでほしいね。収穫されたキュウリの大きさや形、曲がり具合で等級が決められ、外見だけでより分けてほしくないね。最近は偏差値とか学歴とか、それに統一された評価基準で判断される傾向があり、選別好きな世の中になっちまったね。人間様の子どもたちにオモリをつけたり、型にはめたりして、個性とかいうものが重要視されなくなっちまった世の中なんて、おいらはあまり好きじゃないねー。


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