NO.80

自然界のバランス(ヘビとカエルのお話)

花ちゃん 「モンタ博士,森にはいろいろな生き物がいるんだということが分かりました。これからも人間は森と仲良くしていかなければいけないんですね。」
モンタ博士 「そのとおりだね。『となりのトトロ』というアニメがあったけど,その中で,お父さんがサツキやメイちゃんに言っていた言葉がモンタ博士は好きだね。」
オー君 「え! どんなことを言ってたかな。」
モンタ博士 「それはね,メイちゃんが森の中に入ってしまった後に,『昔,人と木は仲良しだったんだよ』というところさ。」
花ちゃん 「なーるほど。人間も森や木もいっしょに生きているということですね。」
モンタ博士 「そうだね。つまり森や緑こそが人間の命の基盤(きばん)であり,人間は他の動物と同じように,本当は森の寄生虫(きせいちゅう)の立場でしか生きていけないということなんだよ。」
オー君 「寄生虫って,血や栄養(えいよう)をすったりするやつですか。」
モンタ博士 「そうだよ。ちょっとたとえは悪いけどね,寄生虫というのは,その対象である寄主(きしゅ)が絶滅(ぜつめつ)するほどは,その血や栄養をすうことはないんだ。ようするに,共生(きょうせい)関係にあるということだね。」
オー君 「何だかむずかしくなってきたな。もう少しおいらにも分かるように,やさしくお話ししてよ。」
モンタ博士 「そうだね,ごめん。たとえばヘビとカエルを例にとってみよう。長い歴史でも広い地球でもヘビもカエルも絶滅したことはないけど,もし,絶滅するとしたら,ヘビかな? カエルかな? どっちだと思う。」
花ちゃん 「いつもにらまれるカエルかな。」
オー君 「いつもいばっているヘビかな。」
アズマヒキガエル
アズマヒキガエル
ヤマアカガエル
ヤマアカガエル
   
マムシ
マムシ
アオダイショウ
アオダイショウ
モンタ博士 「いろいろな動物の研究をしてノーベル賞をもらったコンラート・ローレンツ博士という人がいるけどね。博士の研究では,ヘビがふえすぎるとカエルをどんどん食べてカエルの数がへるんだ。そして,カエルの数が十分の一以下になると,もはやヘビはえさのカエルをさがせなくなる。そこで,いばっているヘビが最初にだめになるそうなんだ。これが自然界のすがたなんだそうだ。」
オー君 「ふーん,なるほど。強い方が先にダメになるということなのか。」
モンタ博士 「そうだね。現実的(げんじつてき)にはヘビがへればカエルがふえて,カエルがふえればまたヘビがふえるんだけどね。」
花ちゃん 「自然界のバランスというのはうまくできているんですね。」
モンタ博士 「そのとおりだよ。長い地球上の歴史でも,ヘビもカエルも両方とも絶滅するということはないんだよ。」
オー君 「自然界のバランスがよいから,両方とも絶滅しないんだな。」
モンタ博士 「ところがだよ。ところが,ここで大切なことは,どちらかが先に絶滅するとすれば,それは,ふだんは強いと思っている者,いばっている者の方が先にダメになる,言葉を変えれば,絶滅するということなのさ。このことをよく知っておかなければいけないと思うけどね・・・。」

▼いばっている者こそ謙虚さを忘れないで!

 今,私たち人類は,食う者と食われる者との立場を表す,食べ物でつながっている一つの鎖…食物連鎖…の頂点に立って,一番いばってあらゆる欲望を満足させようとしている,人口が倍々ゲームのように増えて,まるで人類が地球上を制覇したような気分になっている。しかし,自然界のエネルギーの流れから見た生態系の中で,緑の植物が生産者であるのに対して,人間が消費者の立場,寄生虫の立場にいる以上,緑…それが立体的につまっている森―を食い尽くした時に最初にダメになる,最初に破滅する,最初に絶滅するのは,自然界を取り巻く生態系の図式から見れば,実は,人間の方なのであることをしっかりと認識しなければならない。

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