NO.76

セミのぬけがらのけんさく

花ちゃん 「ねー。オー君。この前,2年生の子が,アブラゼミのぬけがらを持ってきたでしょう。」
オー君 「うん。おいらも見せてもらったよ。背中(せなか)がパカッとわれていた やつだろう。これからは,いろいろなセミのぬけがらが見られるぞ。」
花ちゃん 「ねえね,オー君。私,セミをたまごから育ててみたいな。」
オー君 「そんなの無理だよ。たまごから幼虫になるのに10か月。それから5〜6年もかかるんだぜ。そうとう気長な昆虫(こんちゅう)博士でないとできないよ。セミの地下の生活には,まだ分かっていないことがたくさんあるらしいよ。」
花ちゃん 「そうなんだ。ところで,セミの鳴き声って,種類によってちがうんでしょう。」
オー君 「そうさ。チーチー,ミーンミン,ツクツクオーシ,シャワシャワ,ギーギー,ジジジ,チッチッチ,ジージージーとかいろいろあるよ。」
花ちゃん 「そうか。それじゃ,セミはいろいろな鳴き声のシャワーで夏を感じさせてくれるのね。」
オー君 「花ちゃん。夏のシャワーか。うまいこと言うね。でもね,シャワシャワと鳴くのは,クマゼミといって関東地方より西の方に多いセミなんだよ。」
花ちゃん 「ところで,セミの羽化の様子を私も見たいな。オー君。どうすればいいの。」
オー君 「そんなの,かんたんだよ。明るいうちにセミがよく鳴いている公園か神社に行って,うす暗くなってから,かいちゅう電灯をかた手に地面からはい出してきた幼虫をつかまえればいいのさ。幼虫はそのままにしていると,高い木の上に行ってしまうから,そっとおうちに持ち帰って,お部屋のカーテンに止まらせれば,ゆっくりと羽化を観察できるよ。おいらについて来な。」
花ちゃん 「さっきから,モンタ博士,何か書いているけど,何かな?」
モンタ博士 「ジャーン! ついに,完成したぞ! ぬけがらから分かるセミのけんさく表だ。」
セミのぬけがら

▼ラブ・ストーリー(セミバージョンの巻)・・・
  今,はやりのトレンディードラマほどブレイクしてませんが

 ジージージー。やあ! みんな。こんちわっす。ここは,たしか,神社だったよな。おっと,いけない。自己紹介をしなくちゃな。おいらはアブラゼミのいけめんセミ吉だ。大きな声で鳴くのは男の証し。「本鳴き」というのは,遠くにいるメスを呼ぶためさ。かわいいあこがれのキューティなセミ子ちゃんにおいらの鳴き声が届けとばかり,大声で鳴くのさ。ツクツクボウシというセミは1匹が「オーシー・ツクツク」と鳴いていると,近くにいるオスが,「ジュウ…」とまるで横槍を入れるように声を出すそうだ。これをちなみに,「じゃま鳴き」というらしいが,おいらはそんなせこいまねはしねえよ。大声張り上げて勝負するだけさ。
 おっと! あこがれのキュウーティなセミ子ちゃんがこっちに来るぞ。やったー! 天にも昇る気分とはこのことか。おや,おいらの鳴き声にほれたようだ。歩いてこっちに来るぞ。さて,そろそろ「本鳴き」から「誘い鳴き」に変えなくちゃな。「誘い鳴き」とは愛の印さ。ラブコールっちゅうんだよ。おいらも接近しちゃえ。次においらのやることは,セミ子ちゃんの羽の先をチョンチョンとたたくのさ。セミ子ちゃんがおいらのことを好いていてくれりゃ,羽なんかバタバタさせないはずだ。頼む! バタバタさせないでおくれ,お願い。…と,その時,バタバタとセミ子ちゃんははるか遠くの空へ…。
 まいったな。落ち込むよ。また,ふられちゃった。まあ,いっか。男は失恋するたびに強くなるんだからな。次のラブ・ストーリーを目指して鳴き続けるだけさ! さあ,学校のあたりから少し流してみっか。そして,セミ吉の愛のさすらい旅は続くのであった。完。おしまい。幕。

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