花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ


 ヨモギ(お灸のお話)
オー君。これがヨモギだよ。
おもちに入れて草もちで食べたことがあるかな。」
え! 食べられるの。ぼく,食べたい。」
食べる前にお勉強しましょう。どうしておもちにヨモギを入れるの。」
ヨモギ(キク科)
それはね,ヨモギという草はね,その緑色がいかにも春にふさわしいやさしい感じの色だし,かおりがとってもいいからなんだよ。」
そうね,よく見るとすてきな緑色ね,かおりもどこか春らしい感じだわ。」
それだけじゃないんだよ。まだまだあるんだ。それはね,ヨモギの葉っぱをよーく観察すると分かるよ。」
よーく見るんですね。どれどれ……。あれ? 虫メガネで見ると,細い白い毛みたいなものがいっぱい付いているよ。」
白い毛みたいなものがおもちを作るときに,つなぎといって,くっつける役目をするんだよ。だから,ヨモギの若い葉をモチグサともいうんだ。」
ふーん。なるほどね。」
それからね,この白い毛はね,ロウを含んでいるんだよ。それで,水をはじくようになっているんだ。ロウがあるから,この白い毛はよく燃(も)えるんだ。」
よく燃える木という意味で,『よ・も・ぎ』というのかな。」
ピンポーン。その通りさ。よく知ってるね。おどろいたな。」
いえいえ,たいしたことはないですよ。ところで,よく燃えると何か意味あるのかな。」
二人とも『お灸(きゅう)』という言葉を聞いたことがあるかな。」
お灸??? どっかで聞いたことがあるみたいですが……。」
あ! 思い出した。ぼくのおばあちゃんが『お灸』をやっているのを見たことがあるよ。何だか綿みたいのをかたに置いて,火をつけるんだ。初めて見たときはおどろいたよ。おせんこうのようにもくもくとけむりが出るんだ。すっごく熱いらしいよ。」
オー君は見たことがあるんだね。よかったね。」
ヨモギっていろいろな役に立つ草なんですね。」
まだまだあるんだよ。ヨモギをお風呂(ふろ)にいれたりすると,つかれた体が楽になるそうだよ。」
どうしてなの,モンタ博士。」
それはね,さっきもちょっとお話ししたけど,ヨモギはよいかおりがすると言っただろう。あのよい香りというのは,実は油なんだよ。油といってもてんぷら油とはちがうよ。精油(せいゆ)成分といったほうがいいかな。」
精油成分? 何だかむずかしいですね。」
むずかしく考えることないよ。この精油成分,つまり,ヨモギのかおりにはいろいろと体に薬になる成分があるんだよ。だから,ヨモギというのは,古くから薬草として使われてきたんだよ。」
本当にむだのない植物ですね。」
この強いかおりは邪気(じゃき)をはらうといわれ,3月3日にはヨモギの入った草もちを食べ,5月5日にはショウブとヨモギの入ったお風呂に入るんだよ。昔からのならわしには,いろいろとそれなりの理由があったんだよ。昔の人はえらかったね。」
それにしても,人間って,雑草といわれるような草でも,いろいろと工夫して生活に生かしてきたんだね。本当に感心しますね。」



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