NO.54

花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ

□アワフキムシのアワって何だ?

  ダイコンの葉
アワフキムシ
花ちゃん 「うわー,あわあわだわ。よく見ると,あわの中に黒いものが見えるけど……,なんだろう。」
オー君 「よく聞いてくれたね。この写真はおいらがとったんだ。なかなかうまいだろう。あわあわがついている木などを,花ちゃんは今までに見たことがあるだろう。」
花ちゃん 「そうね,山に行ったときに,草のくきや低い木の枝に,これと同じあわを何度も見たわ。ところで,何ていう名前の虫なの。」
オー君 「これをアワフキムシというんだよ。ふだんは,あわの中にかくれているんだけど,今回は,おいらが写真をとるためにちょいと出てきてもらったというわけさ。」
花ちゃん 「ふーん,何であわの中にいるんだろう?」
オー君 「そんなの決まっているだろう。あわの中にいた方が敵から身を守るのに安全だからだよ。」
花ちゃん 「ふーん,そうなんだ。それじゃ,どうやってあわを出すの。」
オー君 「そんなの決まってるだろう。口から,たぶん,そうじゃないかな? え! あわはどうやってできるのでしょう。おいら,分かんないよ。あわてちゃうな,なんて,ごまかしてはいけない。こんなときには,ぼくらのモンタ博士を呼ぼうよ。」
モンタ博士 「どうもどうも,モンタ博士を呼んでくれてありがとう。このごろ,花ちゃん,オー君が自分でどんどん研究しているから,モンタ博士は少しひまになってしまって,……。本当はちょっぴりとさびしかったのさ。」
オー君 「モンタ博士,アワフキムシのあわはどうやって作るの。」
モンタ博士 「なるほど,アワフキムシか。あわというよりもつばって感じしないかな。」
花ちゃん 「つばなんて,もー,やんなっちゃいますね。モンタ博士には……。」
モンタ博士 「いやにならないでよ。つばといったのはね,このアワフキムシのことを,『カッコウのつば』とか『カエルのつば』と呼んでいる国もあるということさ。」
花ちゃん 「ところで,つばはわかったけど,あわはどうやって作るの。」
モンタ博士 「ごめんごめん。まず,この写真で見えるのはアワフキムシの幼虫だということさ。成虫はセミのように羽をもっていて逃げるからあわの中にはいないんだ。このあわの正体は何かというとね,おしっこさ。」
オー君 「おしっこ!」
花ちゃん 「おしっこ!」
モンタ博士 「おしっこといってもアワフキムシの場合,草のしるなどを飲んで,栄養を吸収したあとの水分ということさ。」
花ちゃん 「どうやってつくるの。」
モンタ博士 「まず,おしっこを少し体から出し,おなかにためた空気や分泌液(ぶんぴえき)を出し,足でこねこねするそうだ。10分もするとあわのかくれ家ができあがるということさ。」
オー君 「でも,あわだと,雨に流されないのかな。」
モンタ博士 「それがだいじょうぶなのさ。せっけんのあわとはちがうらしいよ。それに,乾燥(かんそう)にも強くできているというから不思議だね。」
オー君 「おしっこをそのまま捨てずに,自分の隠(かく)れ家にかえちゃうなんて,昆虫(こんちゅう)の世界はサプライズなことばかりだね。」

▼セミのおしっこ

 おしっこが出たので,その続きをしなくてはね。セミもよくおしっこをするといわれる。夏休みにセミをとろうとしておしっこをかけられた経験はだれでも持っていることだろう。では,このセミのおしっこの目的はというと,それほどりっぱな理由があるわけではなく,近くに敵がくると,おどろいて反射的(はんしゃてき)に直腸(ちょくちょう)が収縮(しゅうしゅく)し,たまっていたおしっこが押し出されるだけらしい。実際,つかまえようとしなくても,しょっちゅうおしっこをしているらしい。
 その方が,飛ぶのに軽くなっていいのかもしれませんね。


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