NO.46

花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ

□アリジゴクのお話

花ちゃん 「オー君,この前,おうちの庭でおもしろいものを見たの。」
オー君 「なんだよ,おもしろいものって?」
花ちゃん 「すりばちみたいなあながあってね,小さな虫みたいのがいるの。」
オー君 「えっ! すりばちみたいなあな?」
花ちゃん 「アリがそのすりばちの中から出ようとしているんだけど,できないの。」
オー君 「分かった。アリジゴクさ。アリがそのすりばちの中に落ちたら,もう二度と出て来れないんだ。アリにとっては,地獄(じごく)なんだ。それでアリジゴクさ。」
花ちゃん 「ほんと!? それで,アリジゴクはその後,どうするの?」
オー君 「うーん。その後は,くわしくはモンタ博士に聞こうよ。」
花ちゃん 「そうしよう,そうしよう。モンタ博士,アリジゴクってなーに?」
モンタ博士 「アリジゴクというのはね,ウスバカゲロウという虫の幼虫だよ。」
オー君 「ウスバカゲロウは,カゲロウ目(もく)なのかな。」
モンタ博士 「カゲロウ目(もく)とはちがうんだ。ウスバカゲロウはアミメカゲロウ目(もく)というんだ。」
花ちゃん 「昆虫(こんちゅう)には,いろいろな目があったけど,まだほかに目というのがあるということですね。」
モンタ博士 「全部で30くらいの目があるんだよ。」
オー君 「昆虫の世界は奥が深いということですね,モンタ博士。」
モンタ博士 「そのとおりだね。ところで,そのウスバカゲロウやクサカゲロウなどのアミメカゲロウ目の虫は,とっても変わった生活をしているんだよ。」
花ちゃん 「アリを食べちゃうんでしょう。」
モンタ博士 「そうだね。オー君が言ったように,自分で作ったすりばちのあなにアリなどの虫をさそいこんで,それに落ちたら最後。あなの真ん中にいて,落ちてきたアリの体液を吸い取って生きているんだ。その後は,ポイッと外に出しちゃうのさ。」
花ちゃん 「それがほかの虫とちがうところなんですか。」
モンタ博士 「いやいや,そんなもんじゃなくて,このウスバカゲロウは幼虫が成虫になるまでに2〜3年かかるんだ。だけど,な,な,なんと,幼虫時代はまったく,おしっこもうんちもしないんだ。」
  イラスト
花ちゃん 「え! 2年も3年も一度もおしっこやうんちをしないの?」
モンタ博士 「そのとおりさ,不思議だね。変わった虫だね。へんな虫だね。」
オー君 「ということは,超フンヅマリ虫というか,超便秘虫(ちょうべんぴむし)というか……。」
モンタ博士 「まあ,そういうことだね。成虫になって地上にはいだして草によじ登り,羽や体がかたるまと,生まれてはじめておしっことうんちをするのさ。」
花ちゃん 「食べるだけで,どうしておなかがふくらまないのかな。」
オー君 「うん,うん。不思議なことがいっぱいなんだね。」
モンタ博士 「そのとおりだね。ウスバカゲロウだけじゃなくて,ほかの虫にも,人間が考えるのでは,変だな,おかしいな,と思うような,不思議な生き方をしているのもいるよ。むずかしい言葉でいうとね,生態(せいたい)というんだけどね。これらは,みな数億年という年月の中でできあがった虫たちの生き残りのための手段なんだね。へんな虫というのは,本当はすごい虫ということなんだよ。」

▼アリジゴクのくらし

 ウスバカゲロウはカゲロウやトンボの仲間ではなく,脈(みゃく)し目(もく)に属する昆虫である。酒の徳利を思わせる奇妙(きみょう)な形をした幼虫は縁(えん)の下や大木の根元にすりばち状の巣をつくる。そして,すりばち状の穴は住居であり,ありを落としこむわなでもある。  スリバチムシ・アナボコボという方言があり,よく特徴(とくちょう)をとらえている。アリジゴクの英名はアント・ライオン(アリ狩(が)りライオン)と日本の方言である地獄虫(じごくむし)からできたともいわれている。


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