NO.44

花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ

□バッタのひみつ
 (口で息をしないバッタ・キリギリス・コオロギなど)

花ちゃん 「あ! オー君! ざんこく! 何しているの。バッタが息ができなくておぼれて死んでしまうわ。やめて。」 バッタ
オー君 「だいじょうぶだよ。こうやっても,バッタは簡単には死なないんだ。ねー,モンタ博士。」
モンタ博士 「そのとおり。どうしてなのか,分かるかな。花ちゃん。」
花ちゃん 「分かりません。口で息ができなくて死んじゃわないの。」
オー君 「死んだりしないんだよね。バッタには肺(はい)がないんだ。ねー,モンタ博士。」
モンタ博士 「花ちゃん,バッタは人とちがって口で息をしていないんだよ。」
花ちゃん 「口で息をしていない? どういうこと?」
オー君 「すべての昆虫(こんちゅう)は口ではなく,おなかのところにある気門(きもん)とよばれている場所から空気の出し入れをしているんだ。気門から取り入れた空気は気管というくだを通って全身に運ばれるのさ。」
花ちゃん 「それじゃ,頭でなく,おなかのほうを水に入れれば死んじゃうわけね。」
モンタ博士 「なるほど,なるほど,おもしろいことを考えるね。さすが,花ちゃん。」
オー君 「ところが,それでもなかなか死なないよ。どうしてかと言うと,バッタの体の中には空気がいっぱいつめこまれているからさ。」
モンタ博士 「それで,体が軽くなって空を飛べるというわけさ。昔,モナリザのほほえみで有名なレオナルド・ダ・ビンチという人が,鳥のように大空を飛びたくて,羽根を使って実験してみたんだけど,けっきょく飛べなかったのは,人間が重すぎたからなんだよ。」
花ちゃん 「なーるほどね,よく分かりました。ところで,バッタっていうけど,どんなバッタがいるの。教えて!」
オー君 「その前に,花ちゃんの知っているバッタって,どんなのがあるの。」
花ちゃん 「トノサマバッタでしょ。それから,イナゴ,オンブバッタ。あとは?あれ,みんな緑色をしている虫だわ。バッタのとくちょうというのは,緑色というわけかしら。」
オー君 「そうとは限らないよ。スズムシだって,コオロギだってバッタの仲間だぜ。」
モンタ博士 「それでは,ここで,バッタの仲間はどんなとくちょうがあって,どんな仲間がいるかをもう一度お勉強することにしよう。」
花ちゃん 「昆虫の仲間分けのときに,甲虫目(こんちゅうもく)とか,りんし目(チョウ目)とかあったけど,バッタは何て言うのかな。バッタ目っていうのかな。」
モンタ博士 「バッタ目でもいいけど,正しくは直し(ちょくし)目といって,羽がまっすぐだからだよ。でも,そんなことより,バッタ目のとくちょうをオー君に説明してもらおうよ。」
オー君 「まず,第一のとくちょうは,はねるための長くて大きくてじょうぶな後ろ足を持っていることかな。それから,不完全変態といって,さなぎにはならないで,幼虫と成虫がよく似ているんだ。大きく分けて,バッタ,キリギリス,コオロギの3つの仲間になるんだ。」
  イラスト
モンタ博士 「バッタの仲間は昼間に動くものが多くて草食。しょっかくも短いんだ。ところが,キリギリスやコオロギの仲間は,夜行性で肉食・雑食のものもいて,しょっかくは長いんだ。それに,羽をこすり合わせて鳴く虫も多いね。」
オー君 「ところで,モンタ博士。この前,ミヤマフキバッタというバッタを見つけたんだ。そしたらね,羽がとっても短くてないみたいなんだ。どうしてなの。」
花ちゃん 「羽は飛ぶためにあるんでしょ。バッタにジャンプ力があれば,無理して飛ばなくて,はねるだけでもいいんじゃないのかな。」
モンタ博士 「そうだね。いろいろと自分で想像してみることは楽しいね。」
  ミヤマフキバッタ
ミヤマフキバッタ

▼飛びはねる虫の世界チャンピオンは?

 ノミバッタというバッタは体長5mmほどで,飛ぶことはできないが,跳躍力(ちょうやくりょく)はとても強く,体長の200倍ははねるといわれています。人間の体長を1.5mとして考えた場合,約300m跳ねる計算になります。走りはばとびをやったら,世界チャンピオンになれることまちがいないでしょう。ノミバッタは,後ろ足だけが,異常(いじょう)に発達しており,砂地に多く見られます。なお,バッタ目は日本に250種ほどいます。


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