花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ


 カラスアゲハの夏対策(水冷式クーラーの不思議)
モンタ博士,この前のプールの時にアオスジアゲハもプールに遊びに来ていたわ。何をしに来ていたのかな。」
まさか,チョウも暑くてプールで泳ぎたかったんじゃないよね。」
ひょっとしたら,みんなと泳ぎたかったのかもしれないね。ところで,みんなは暑くなるとどうする。」
やっぱり暑いときはかき氷かな。それからアイスクリームもいいな。うちわもいいけど,こんなときは,クーラーが一番かな。」
何をいってるの。人間はね,暑いときにはあせを出さなきゃ。それで体温を調節して,暑くならないようにしているのよ。だから,暑いときはあせをかけばいいのよ。でも,暑いわ。クーラーほしいな。」
モンタ博士,チョウや虫たちは,この暑いのに大変だろうね。」
昆虫たちは変温(へんおん)動物で,自分では体温の調節ができないという話は,前にもう話したっけ。」
思い出したわ。チョウたちは,まだ春の光が弱いころは,葉っぱの上で日光浴をして体を温めるということね。それから,太陽の角度に合わせて,光がなるべく直角にあたるように,羽をたおしたり,工夫しているのよね。」
よく覚えていてくれたね。感心しちゃうね。それじゃ,夏の暑いときは,どうするのかな。みんながチョウになったつもりで考えてごらん。」
やっぱり日かげでじっとしているのが一番いいと私は思いますが……。」
そのとおりだね。でもね,えさを取るために休んでばかりいられないよ。モンシロチョウやキチョウなどは,白や黄色で光を反しゃするからいいと思うけど,アオスジアゲハやカラスアゲハなどは,体が黒いから暑くて大変だろうね。」

水冷式クーラーのカラスアゲハ
そのことは3年生の理科の授業で,白い紙と黒い紙で実験して覚えているわ。」
それじゃ,カラスアゲハなんかはかわいそうだよ。どうしているのかな。」
それはね,水冷式(すいれいしき)クーラーで体を冷やしているのさ。」
水冷式クーラー?」
なんですか。それは?」
その前に,車のエンジンを冷やすためにラジエターというのがあるんだけど,知ってるかな。」
いいえ,ぜんぜん分かりません。」
熱いエンジンを冷やすために,近くに冷たい水を流すということかな。」
そのとおりさ。よく知ってるね。感心だね。ところで,それと同じことをチョウたちはやっているということなんだよ。つまり,太陽の熱で温められて,さらに,あちこちと飛びまわって,その運動でも熱が出てしまったチョウは,水を飲んでほてった体を冷やしているのさ。水を飲んでは,どんどんどんどんおしりから水を出しているのさ。」
アオスジアゲハはプールで水を飲んで体を冷やしていたんですね。それで体温が下がると,また夏の日ざかりに飛び出していくというわけですね。」
水のある所に行けば,チョウがゲットできるんだな。ようし! レッツゴーだ。」
長い進化の過程で・・・・・・
 飲んだ水がすぐにお尻から出るのはふしぎである。昆虫では口から食べた食物が消化管を通る時間,すなわち,不消化物に尿酸などの代謝生成物がまざり,糞として排出されるまでに要する時間は,短くて2時間,長ければ4日かかるといわれている。飲んだ水が消化管を素通りして出ていくように自分で切り替え,それで,体を冷やすとはまことに巧妙なしくみである。
 人間は暑くなると,皮膚の汗腺から汗を出し,その気化熱によって体温の調節をおこなっている。汗腺を持たず,汗のかけないアオスジアゲハやカラスアゲハは,長い進化の歴史の過程で,簡にして要を得た水冷式夏ばて消去法を身につけたのである。


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