NO.269

ハチのひみつの世界19 「ミツバチ(3)」

「ハチミツの作り方はよく分かりましたが、花粉(かふん)集めはその後どうするのですか。」
「花粉だんごを花粉パンにするのさ。」
「え! だんごをパンにする? どういうこと。」
「花粉だんごをかみくだいて、巣室(そうしつ)にハチの頭でおしこんでためるのさ。ハチミツがしみているからくさらない。だから長い間、ためておくことができ、これを花粉パンというのさ。」
「それで、何に使うのですか。」
「まず、糖分(とうぶん)の多いハチミツは、ハチのエネルギーになるし、タンパク質の多い花粉はハチの体づくりの養分(ようぶん)に使われるのさ。」
「つまり、幼虫たちのえさになるということですね。」
「いろいろなことが分かってきて、とてもうれしいですね。ところで、モンタ博士。いままでいろいろなハチの巣についてお勉強してきましたが、ミツバチの巣って、どうやって作るのですか。」
「穴(あな)をほったり、竹筒(たけづつ)を巣にしたり、木や草で紙の巣(アシナガバチ・スズメバチ)を作ったり、いろいろありましたね。ミツバチはそのどれににているのですか。」
「いい質問(しつもん)だね。ミツバチは今までのハチとは全然(ぜんぜん)ちがうもので作るのさ。」
「ちがうもの? 何を使うのかな。」
「それはね、ロウでできているんだ。そして、その材料(ざいりょう)は、ミツバチが自分の体の中で作られるものなんだ。」
「え! 自分で作る? どういうことですか。」
「ミツバチのおなかのところにあるワックス腺(せん)から巣の材料であるロウが分泌(ぶんぴつ)されるのさ。そのロウを口でかんだりねったりしながら次々とくっつけていくというわけなんだ。下がその写真なんだ。」
「とってもきれいな巣ですね。」
「そうだよ。はたらきバチたちが触覚(しょっかく)や首のかたむきなどを定規(じょうぎ)のように使うらしいよ。」
「そうなんですか。スズメバチもアシナガバチも、その他、いろいろなハチの母親バチが巣を作るのがふつうですよね。でも、ミツバチはちがうんですね。ミツバチの母親バチは何をしているんですか。」
「ミツバチの母親バチは、女王バチというのさ。大きなおなかには、たくさんのたまごが入っているんだ。女王バチには花粉バスケットもなければ、ワックス腺もないんだ。たまご産みマシーンみたいなものさ。」
「え! ただたまごを産むだけなんですか。」
「そのとおりだよ。女王バチは1日に1500こもたまごを産むんだ。」
「へえー、そんなにたくさん。」
「一日は24時間で、1時間は60分でしょ。60×24で1440だから、つまり、1分間に1このたまごを産むんだ。すごいなー。」
「すごいね。でも、女王バチのすごさはそれだけではないんだ。女王バチはとくに力があるからとか、頭がいいとか、りっぱな行いをするとかで、2万びきのはたらきバチを支配(しはい)しているわけではないんだ。」
「では、どうやって支配しているのですか。」
「それはね、あごのところから『女王物質(ぶっしつ)』とよばれる化学物質を分泌して、体の表面にまとっているんだ。女王バチの近くのはたらきバチは、この女王バチの化学物質をなめては、他のはたらきバチに受けわたしているのさ。」
「ねえ、モンタ博士。ミツバチはダンスをして、仲間にいろいろな情報(じょうほう)を伝えるとある本に書いてあったけど、女王バチの化学物質も情報を伝えるものだったんですね。」
 「そのとおりだね。わずかな女王物質が、はたらきバチたち全員の卵巣(らんそう)の発達をおさえたり、はたらきバチの反乱(はんらん)をおさえているんだよ。まあ、ちょっとむずかしいお話になってしまって、ごめんね。」
「でも、いろいろなことが分かりました。」
「ハチの世界って、ほんとうにいろいろなことがあって、おどろきがあり、感動がありました。これからもハチと仲良くくらしていきたいと思います。」

働かない働きバチのお話

 働きバチというと、女王バチの部下でとても勤勉な存在のように思われますが、実態はそうでもないようです。ある研究書物によると、働きバチは、一生をさまざまな仕事に明け暮れている存在ではないそうなのです。実は働きバチの半数以上は何もせずに休んでいたり、巣の中をぶらぶらと歩き回っているだけなのです。やらなければならない仕事があると、それを片付けると、また休息やぶらぶら歩きをしています。無駄のような存在ですが、この多くの非労働者がいることにより、敵の襲撃など緊急事態にも、コロニーは適切に対応することができるのです。


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