NO.263

ハチのひみつの世界13 「アシナガバチ(2))

「アシナガバチのお母さんは、巣作りやたまごを産(う)んだり大いそがしですね。」
「巣が大きくなったら、どうするんですか。たまごがかえったらどうするんですか。」
「それからがまた大いそがしなんだ。次々に生まれてくる幼虫(ようちゅう)にえさをあげなくてはならないだろう。」
「えさはどんなものをあたえるのですか。」
「アシナガバチのえさはね、アオムシや毛虫などの幼虫なんだよ。」
「今までのいろいろな狩(か)りバチと同じように、麻酔(ますい)をかけて、幼虫のえさにするのかな。」
「そうではないんだ。今までのハチとちがって、えさである幼虫を見つけると、あごでかみくだいて、足と口で肉だんごにしてしまうのさ。」
「おしりのハリはもう使わないのですね。」
「そうだね、ハリは、巣を守るための武器(ぶき)として使うのさ。だから、むやみに巣に近づいたりすると、ハチにさされるというわけさ。」
「ハチの巣を見つけたら、そっとしておいてあげるほうがいいというわけですね。」
「そのとおりだよ。ハチだって、巣を守るために必死(ひっし)なんだよ。」
「みんな生きていくために、一生懸命(けんめい)だということですね。」
「そうやって、母親バチは、何度も何度も幼虫たちにえさをあげるんですね。」
「そうだよ。クモがあみをはっているだろうし、小鳥が目を光らせているんだ。」
「お母さんバチの命がけの子育てが続(つづ)くというわけですね。」
「梅雨(つゆ)のころに、雨が巣の中に入ったりすることがあるけど、そういうときには、水をすい出したりするんだ。」
「よくはたらくんですね。」
「それからとても暑い日には、水を巣にぬりつけてクーラーのようにして、ひやしたりもするんだよ。」
「水が蒸発(じょうはつ)すると、まわりの熱(ねつ)をうばい、巣をひやすわけですね。」
「それに、羽をふるわせて扇風機(せんぷうき)のように風を送って、すずしくしてあげたりもするんだよ。ところで、下の写真を見て、何か気がつくことはないかな。」
「アシナガバチの種類(しゅるい)がちがうようですね。」
「さすが、オー君。よく気がついたね。でも、もっとかんたんなことに気づいてほしいな。」
「かんたんなこと? たとえば、左はハチがたくさんいるけど、右は1ぴきだけとか。」
「ピンポーン。そのとおりさ。つまり、右は母親バチだけで作っている巣で、左は、子どもたちが生まれて(この時はすべてメスバチ)、巣作りのお手伝いをしているというわけさ。」
「もう母親バチは巣を作らないの。」
「巣作りは子どもたちにまかせて、たまごを産むことに集中するんだよ。」
「そして、だんだんと大きな巣になるということですね。」
「そして、夏が終わるころになると、春から命がけで巣を作ってきた母親バチが死んでしまうんだ。」
「そうすると、巣はどうなってしまうのですか。」
「とても大きくなった巣は、母親バチの産んだたまごや幼虫でいっぱいなんだ。そして、むすめバチたちが、のこされた幼虫のせわをして育てるのさ。」
「母親バチもえらいけど、むすめバチもえらいですね。」
「そうだね。そして、秋にひとまわり大きなハチが生まれ、そのハチは次の春に巣作りをする大事なハチなんだ。」
「メスばっかりなんですね。オスはいないの。」
「オスはね、結婚(けっこん)していないむすめバチのたまごから生まれるのさ。」
「オスのハチも、母親バチやむすめバチと同じようにはたらき者なんですか。」
「ところがどっこい、オスはいつもぶらぶらしているそうなんだ。」
「遊んでばっかりいるのか。こまったやつだな。」
「ところがそうでもないんだ。オスの役目はね、メスと交尾(こうび)することなんだ。」
「交尾の後はどうなるのですか。」
「オスはその後、ちりぢりに飛びさり、メスバチを育てあげたむすめバチも次々と死んでしまい、春からの長い巣作りも終わりになるというわけさ。」
「そして、秋に生まれたメスバチだけが、ひっそりと物かげや木の皮のところで春をじっと待っているということですね。」

ウンチをしないアシナガバチの幼虫

 卵が孵化して2週間ほどすると、幼虫は5令幼虫になります。やがて、カイコのように口から糸を吐いてマユを作り始めます。狭い巣の部屋の中で手も足もない幼虫が糸を張るのは、それはそれはたいへんな作業なのでしょう。マユの中の幼虫はその後、脱皮してさなぎになりますが、この時になって、初めてウンチをします。それまで一度もウンチをしなかったのは、それなりの理由があります。巣の部屋の中は狭く体の向きを変えることもできず、母バチも体を入れることができません。 その時、幼虫がウンチをし続けた場合、どうなるか想像してみると分かります。巣の部屋はたちまちよごれてしまい、カビが生えて幼虫が病気になってしまいます。そのため、ウンチはできるだけ体の中にため続けるしかないのです。さなぎになる前にウンチをして、脱いだばかりの幼虫時代の皮といっしょに、巣の部屋の奥に押しつけてしまうそうです。


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